百歳への招待「長寿の源」食材を追う「サバ」

1999.10.10 49号 11面

サバは世界各地でとれ人気の高い魚である。特にヨーロッパやアメリカで賞味されている。

日本でも古くから食べられ奈良時代には租税として納められていた。日本近海でとれるサバはホンサバとゴマサバの二種類。サバの漁獲高は一九五二年には一三五万トンもとれ、イワシと並ぶ多獲性大衆魚であったが最近では五〇万トンを割り、不足分はノルウェーなどから輸入されている。

サバの欠点として「生き腐れ」の言葉があるように、鮮度落ちが早く腐敗しやすい性質を持っている。これは自分の持つ分解酵素の作用によるもの。この正体はうまみ成分のヒステジン。室温のまま保存しておくと酵素作用で分解し、有害物質のヒスタミンに変わり、じんましんや腹痛の原因となる。

この鮮度落ちの早いことから逆に、いろいろな工夫が各地でみられる。生きたサバは直に塩サバに加工されたり、サバ寿司やなれ寿司として保存性が高められている。惣菜魚としても利用度が高く、塩焼き・煮つけ・みそ煮・バター焼き・しめサバ・マリネ・酒蒸し・酢蒸しなどにファンは多い。

またサバは加工性に優れ、開き干しにしたり、かつおぶし代用のサバぶしもみられる。そのほか水煮、トマト煮、油漬け缶詰として各国に輸出もされている。

成分的にも優れ、サバの尾に近い部分の皮と身の間には皮膚炎を防ぐビタミンB2が多く含まれている。成分は一〇〇グラム当たり二三九キロカロリー、水分六二・五%、タンパク質一九・八%、脂質一六・五%、糖質〇・一%、灰分一・一%。無機質ではカルシウム二二、リン一六〇、鉄一・五、マグネシウム二四(いずれもミリグラム)、亜鉛七五〇、銅一二〇(同マイクログラム)、ビタミンA効力一〇〇、D四四〇(同国際単位)、E一・八マイクログラムとなる。

ビタミンDや老化を防ぐEが豊富な上に、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPAの含有量も豊富で頭の働きを良くし、記憶学習能力を高めたり、低下するのを防ベ効果がある。このためサバを食べると頭が良くなるという通説もある。

老人の脳血管型の痴呆病の予防にもEPAとDHAは効果的という。EPAとDHAの多い魚を食べていると欧米型のがんといわれる乳がん・大腸がんに対しては良いという。長寿には肉より青魚が適し優れている。

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