日本では健康食品、韓国では医薬品「メシマ」

1999.11.10 50号 16面

『メシマ』という健康食品がいま、脚光を浴びている。ところがこの『メシマ』、日本では健康食品だが、韓国ではがんの薬として許可されているそうだ。『メシマ』とは一体どのようなものか、取り扱っている(株)ライフケアサポート(東京都中央区)に取材した。

『メシマ』は、メシマコブというキノコの菌株を世界中から集め選抜し、韓国で製剤化したもの。

『メシマ』が日本の医療・健康の現場で活躍するようになるまでには、実は長い物語がある。いまから約三〇年前、国立がんセンター・池川哲朗博士らが一つの実験を試みた。対象は古くから和漢薬として民間に伝承され、がんを阻止する働きがあると考えられていたキノコ群だ。その比較実験を行ったところ、抗腫瘍率九六・七%という飛び切りのデータを示したのがメシマコブだった(表・グラフ参照)。この実験にかけられたキノコの中には早くからがんの治療薬として医療現場に導入されたものもあるが、残念ながらメシマコブはそういう方向には向かわなかった。自然界には非常に稀で、大量培養や栽培が困難なためだ。

ところが、このメシマコブに着目したのが、お隣の韓国。先進国へ追いつくための技術開発プロジェクトの目玉として、国家を挙げてこれに取り組んだ。その中心になった人物が生命工学研究所の愈益東博士だ。愈博士は東京大学で学位を取得、日本の理化学研究所などに勤務した後、韓国へ戻り、研究に専念。メシマコブの研究では「予測を立てて実験をするたびに裏切られた。データが遥かに良かったからだ」と研究開発当時を回想する。

愈博士の研究チームは、一〇年間の基礎実験・臨床試験でがん治療の医薬品としてすべてをクリアし、『メシマ』として国立大学病院などで使われる薬に仕上げた。医薬品としての許可を受けた一九九七年に科学技術賞、一九九八年に韓国のノーベル賞といわれる茶山賞を受賞した。

日本の医療現場でも『メシマ』の開発成功を見て、これを普及することは非常に有意義なことであると考えたのは当然だった。しかし、日本では『メシマ』のようなキノコを薬にすることは大変難しい状況にある。さらに薬として許可を得るには少なくとも一〇年の年月がかかる。そのことから健康食品としての、日本への里帰りが実現したわけだ。

10月11日、横浜アリーナで第二回日本代替医療学会が開催され、多くの研究発表があった。その中で特に注目されたのが「きのこフォーラム」だ。前述の池川博士、愈博士や、金沢大学の太田富久教授らが発表会の後、同学会座長の東京女子医大・高崎健教授、会長の鶴純明博士を交えて盛大に議論が盛り上がった。

その結果として「有用な健康食品は臨床の医者・患者も心待ちにしている。そのためには信頼されるデータが必要である。特にキノコは菌株によって薬理活性に大きな差が出ることから、アガリクスとかメシマコブというキノコの比較でなく、製品でのデータによる比較が求められる」ことが確認された。

席上、愈博士は、「データは、韓国では医薬品としてすべて揃っている。『メシマ』は白血球のマクロファージ、B細胞、T細胞、NK細胞などの免疫力を高めることによりがん細胞を抑える」と発表した。同博士の研究では、抗腫瘍、延命、予防、転移抑制、化学療法の副作用の軽減‐‐が認められた。またI型糖尿病にも効果があるとのことだ。

アメリカでは、『メシマ』のような免疫賦活剤を使った代替医療が手術や化学療法の西洋医学よりも金額的に大きくなった。がんを始めとする慢性病(生活習慣病)はメスや薬だけでは防ぎきれないことが分かってきたからだ。特に化学療法剤については医者に対するアンケートで「自分または家族には使わない」との答えが七五%だったそうだ。がん細胞を叩くと同時に正常細胞も傷つけるため、副作用のデメリットの方が大きいと分かったからだ。

副作用は活発に分裂する細胞で起こる。毛母細胞への影響が脱毛、消化器系には吐き気や食欲不振として現れる。そして一番の問題は造血細胞を傷めることによる免疫力の低下。特に5‐フルオロウラシルはDNAの合成を阻害するため、その副作用は顕著。がんを抑える身体に備わった力を失わせることから、ここでも免疫賦活剤が求められるようになった。日本代替医療学会の鶴純明会長は「治療後のQOL(生活の質)が大切である」と強調している。『メシマ』がその最先端にあることは間違いないだろう。

慢性病は、長い間の生活により徐々に阻まれた結果だから、予防が肝心だ。その点『メシマ』は優れた予防効果のデータから見ても期待される。他方、免疫力は心の持ちようによって大きく影響を受ける。極度のストレスは極端に免疫力を低下させる。『メシマ』でQOLが高まると前向きな気持ちになり、相乗効果が出てくると考えられている。

『メシマ』についての問い合わせは、(株)ライフケアサポート フリーダイヤル0120・193・293

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