おはしで防ぐ現代病:年末肝臓強化・酒との付き合い方
人生には嗜好品はつきものですし、すべてなくなってしまってはおもしろくありません。「酒のうまさを知ることは不幸でもあり、幸福でもある。酒飲みと酒好きとは別のものだが、酒好きの多くは酒飲みだ。一合は一合の不幸、一升は一升の不幸」‐‐酒を好んだ山頭火の言葉です。嗜好品の中で特に飲酒は重要なテーマ。酒飲みにとっては肥満症、高脂血症、高血圧、痛風や糖尿病などは困った病気ではないでしょうか。病気(酒が病気に良くない)になったからといって、すぐに禁酒できる患者さんを私はほとんど知りません。また、少量のアルコールは精神を安定させ、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)を減らすといわれますが、酒飲みや酒好きの飲酒量は少量では収まりません。
食事療法は心身とも健康であるために必要不可欠なものであり、かつ、楽しい食生活であって長続きするものでなければ意味がありません。長い間に培った嗜好や食習慣は変更しがたいという障害もあります。
糖尿病の人では、血糖値のコントロールにアルコールは良いことは一つもありませんが、しいて最低限許される量を示しますと一六〇キロカロリーくらいでしょう。具体的には、ビールなら二〇〇ミリリットル(小びん三三〇ミリリットル)、ワインは一〇〇ミリリットル(ワイングラス一杯一二〇ミリリットル)、日本酒七五ミリリットル(一合一八〇ミリリットル)となります。
しかし、アルコールはエネルギーになりますが、栄養素ではないですから、ほかの食品の代わりにはなりません。「酒を飲んだらご飯は食べない」などというのは決して好ましくありません。アルコールを分解する肝臓の機能を高める食事を一緒にとることも肝心です。