百歳への招待=虎耳草、風邪や火傷など広い薬効

2000.08.10 59号 11面

ユキノシタはユキノシタ科の多年生の植物。中国では「虎耳草(フーアーチャオ)」の名で効用の広い漢方薬として知られている。日本でも古くから、風邪や咳の妙薬として知られ、また美味な山菜としてファンも多い。栽培植物のように思えるが本来は野生種、井戸の近くによく見かけるので初め「イケ(井戸)のシタ」と呼ばれていたが、いつしかユキノシタに変わり、雪の下の意味もみられる。

日本では北海道を除く本州・四国・九州で育つ常緑性の植物で湿った場所を好む。中国でも寒地はみられず河南・江蘇・浙江・四川・雲南など中部以南の諸省に多い。

性状は極めて強く、特に手入れを必要としない。一度植えておくと後にはランナーが出て生え広がるので困るほどである。

薬用や食用とする部分は葉で、飢餓のときにも救荒食糧として大いに用いられた。

真冬を除き、いつ採取しても根付く強さがある。葉には葉緑素を多く含み、カリウム・タンニンもみられ、複合して高い薬効を発揮。しかもアルカリ性で、多くの微量成分(アルプティン・カフェイン酸ほか)がみられる。食用によく薬効も高く家庭の庭隅に置きたいものである。

山菜利用としてのユキノシタは若葉を天ぷらにすると驚くほどの美味。酒の肴にも向く。若葉をゆがいて水にさらし固くしぼって小鉢に盛り付け、上に花がつおをかければ優れた一品となる。これがユキノシタと思う人は少ない。

花蕾のとき(6~7月)に採取し塩漬けにしたものは、

まさに山菜漬となり、なかなかの珍味といえよう。天ぷらに、和えものに、おひたしに、漬物によく、更に煮びたし、油炒めにもよい。クセがなくサッパリとしているので料理の適用範囲は更に広がろう。

民間薬として多面に利用され、風邪・咳・火傷・切り傷・にきび・あせも・虫刺され・歯痛など日常起こりやすい病気やけがの手当用として珍重される。火傷や切り傷、うるしかぶれの時も生葉をもんで貼りつけておくと痛みが和らぎ、止血効果も大きい。

漢方薬としての虎耳草は四川省産が特に薬効が高いとされている。年間常時採取利用できるが花期の終わった後がよいとしている。主要な効用として熱をとる、涼血解毒・風疹を治す。湿疹にも効果が大きい。中耳炎・丹毒によく、咳や痰を止める。また吐血を止め、肺痛や痔疾にもよく、広範囲な薬効をうたっている。

治療法として内服、煎用、外用となり病状によってそれぞれ異なる。ほぼ前述した日本の治療法とよく似ている。中国では更に蕁麻疹や丹毒にもよく、主として一日二回程度の煎用がすすめられている。そして専門の漢方薬店で容易に入手ができよう。

ユキノシタは常緑でほぼ年間採取が可能。しかも強靭で管理も安易、食用、薬用、健康茶にしてもよく、見直す必要が大きい。

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