百歳への招待「長寿の源」食材を追う:ライチー

2000.09.10 60号 11面

ライチーと龍眼は中国南部を原産地とする珍果。生食をはじめ乾燥品など多様に用いられている。滋養強壮・疲労回復効果が高く漢方薬材としても広く利用されている。また美容にもよく、果実酒にして愛飲をお勧めしたい。(食品評論家 太木光一)

ライチーは紀元前一世紀には、すでに栽培の記録がみられる。中国大陸南部が原産地で、福建省・広東省・四川省・海南島が主産地。現在では熱帯から亜熱帯で広く生産されている。

唐の玄宗皇帝の妃で絶世の美女と謳われた楊貴妃の好物として有名だ。産地である福建省の嶺南から首都の長安(西安)まで取り寄せるために一マイル(一・六キロ)ごとに伝騎をおいて夜を日について馬を走らせ、南方の珍果を愛用したという。

ライチーは産地によって大きさ・形・色・甘味・酸味などマチマチで品種差が大きい。数百種もある中で大粒で甘味のよいモチ米ライチーと、種子の小さな桂味ライチーが最高である。ライチーの木は一〇~一五メートルに達する常緑高木で、雌雄異株。酸性土壌が適し、無霜地帯が望まれ熱帯地では花をつけにくい。中国では3~4月に開花、6~7月頃に収穫される。

果肉はツルッとして白っぽい無色透明で、寒天状をしている。甘味が多く、多汁で独特の強い香りがし、中に黒褐色の種子が入っている。肉離れが良いので食べやすい。フルーツカクテル・フルーツサラダにも利用。食後のデザートに喜ばれている。

中国では体を冷やすとして、暑い時期や発熱した時に果肉を煮つめて、水で薄めたものを飲む。昔からスタミナのつく果物として知られている。

また漢方薬材として知られ、ビタミンCやブドウ糖にも恵まれクエン酸なども豊富で生食していると補脾益肝・益智養神・女性の虚弱貧血によいとしている。

中薬大辞典によると、果実の根・樹皮・花・種子などもそれぞれ薬材として利用され、うがい薬や咳止めに効果大としている。乾果はライチナットと呼ばれ中国では婚礼の引出物などにも利用されている。果実だけでなく、花もすばらしく芳香があるため蜂蜜は高い評価をうけている。この蜂蜜を使用した飲料は美容滋養飲料として飲みやすく女性に人気が高い。また加工品として乾燥品(皮ごと乾燥)と缶詰が多く作られ、ビタミンC・ミネラルの供給源として常時出回り、入手しやすい。ライチー酒も風味と効用の果実酒と呼べよう。冴えた美しいこはく色に仕上がる。不老不死の伝承につながる香気を持っている。ビタミン類が多くミネラル・タンパク質も豊富だ。強壮強精・疲労回復・浄血・美容・長寿にもつながり、毎日の愛飲をお勧めしたい。

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