世界最古の健康食品、乾燥イチジク「カリフォルニア・フィグ」

2001.01.10 65号 12面

フィグ(イチジク)は、人類が最も古くから栽培していた果物の一つだといわれている。旧約聖書にも、禁断の木の実を食べたアダムとイブがイチジクの葉をつないで腰に巻いて現れるなど、何度か登場する。その理由は古くから完全食品として知られていたからで、薬としても利用されてきた。一九八〇年代からは、その医学的効能が成分や栄養に基づくものであることが証明されてきている。

「カリフォルニア・フィグ」が初めて栽培されたのは一七六九年、サンディエゴにおいてジュニペロ・セラ率いるフランシスコ修道会の宣教師らによる。その後、布教活動に伴って海岸線を北上。そんな経緯から最も人気のある黒色の種はミッション(布教)と名付けられている。現在アメリカでは、乾燥イチジクはすべて「世界のフルーツバスケット」とあだ名されるカリフォルニアのサンホワキン・バレー地区で生産されている。原産地の地中海産のものと比べて、カリフォルニア産のイチジクは一年を通して収穫されるので最も鮮度が良いとされる。カリフォルニア・フィグの力のほどを、データから見ていきたい。

◆健脳作用、健胃作用も

のんびりお正月休み。まとめ読みしよう思っていた本を一気に読みすぎて脳が疲れてしまったという人もいるのではないだろうか。そんな人にはぜひ、イチジクを食べてほしい。イチジクには健脳効果がある。イチジクを食べずに読書した後の最高血圧よりも、食べた後に読んで測った方が低く、また脳もリラックスしていたことが認められた研究データもある。これはイチジクに含まれるクマリンという物質の降圧作用による。

また久しぶりに親戚や友人たちと会って、ついつい食べ過ぎてしまったという人に朗報なのが、健胃作用のあること。肉の軟化剤としても使われているフィシンというタンパク質分解酵素が含まれているので、肉を食べた後、イチジクを食べると酵素の働きで消化促進され、次の日に胃にもたれることがない。肉食を好む欧米人がすすんでイチジクをとってきたのはこうした理由にもよる。食の欧米化が進んだ日本でもぜひ取り入れたい習慣だ。

免疫力を高めるベンズアルデヒドもあるので、お正月休み中、万事張り切り過ぎてちょっと疲れ気味の身体全体をフォローしてくれる効果もある。

即効性のある効能だけでなく、長い目で見ても嬉しい話がたくさんある。

まず注目したいのが赤ワインで知られるポリフェノールの豊富さだ。ポリフェノールには、動脈硬化や糖尿病・がん・アルツハイマーなどを引き起こす原因の一つである活性酸素の働きを抑える抗酸化作用がある。

次に食物繊維。イチジク四~五個に約五グラム、成人に必要とされる一日当たりの食物繊維の約二〇%が含まれている計算だ。食物繊維は食べ物の消化を助け、身体の組織をクリーンに保つのに大切な役割を果たす。水溶性と非水溶性があるが、前者は血液中の動物性脂肪による悪玉コレステロール値を下げ、後者は腸がんを防ぐ働きがある。イチジクにはその両方が豊富に含まれている。

ミネラル分も十分。貧血気味の女性に欠かせない鉄分。骨粗鬆症対策に重要なカルシウム。心臓や筋肉の機能、身体の細胞内の浸透圧を調節し、血圧を安定させるカリウムなどが豊富に含まれている。

プルーンやリンゴといった代表的な果物の成分と比べると、カリフォルニア・フィグの優位性が分かる。高繊維・高鉄分といわれるプルーンと比較しても、それぞれ二倍。カリウムもプルーン・レーズン・リンゴ・バナナ・ブドウにひけをとらない。

これだけ栄養的価値が高いのに、四~五個食べても一一二・七キロカロリーと低カロリー。また取り過ぎると生活習慣病を引き起こす原因となるコレステロールはゼロ。飽和脂肪酸も含まれていない。

◇カリフォルニア・フィグと温かいホウレン草のサラダ

こんな素晴らしいカリフォルニア・フィグを家庭でおいしく食べる新メニューをご紹介。温かいものと冷たいもの、甘みと酸味、ソフトさと歯ごたえのある感触のコントラストが味わえる。ちょっと新しい食味をお試しあれ。

<材料・4人分>

・サラダ用のホウレン草………………………1束

・フレッシュタイプのチーズ(カッテージチーズ、クリームチーズ、リコッタチーズなど)とハードタイプのチーズ(パルミジャーノ、フェダーチーズなど……………合わせて2カップ

・オリーブオイル…………………大さじ1

・レッドオニオン(なければ普通のタマネギ)…………中1個

・カリフォルニア・フィグ…………2分の1カップ

・クルミ…4分の1カップ

・ニンニク……………2片

・バルサミコビネガー…………4分の1カップ

・レモン汁………大さじ2

・塩……………………少々

・コショウ(できれば挽きたてのもの)………少々

<作り方>

(1)オニオンはスライス、フィグもヘタを取ってスライス、ニンニクは細かく刻んでおく。ホウレン草は洗って冷やしておく。チーズは刻んでおく。

(2)ホウレン草の葉とチーズを大きめのサラダボールに敷く。

(3)フライパンに油を入れて熱し、オニオン、フィグ、クルミ、ニンニクを入れてオニオンが柔らかくなるまで中火で熱する。

(4)ビネガーとレモン汁を加え、沸騰するまで熱する。

(5)(4)を(2)の上に注ぎ、軽くかき混ぜ、塩・コショウで味付けする。

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