2001年春、新・栄養補給作戦! 芽生えパワー「スプラウト」

2001.04.10 68号 2面

植物の新芽・若芽のことを「スプラウト(Sprout)」という。おなじみのかいわれ大根や、モヤシもその仲間といえば、どんなものか分かっていただけよう。豆(種)や根からちょろっと出た新芽を豆ごとあるいはその若葉を食べようというものだ。スプラウトはビタミンやミネラルなどを豊富に含み“栄養源の宝庫”といわれる。少量でもこれら栄養を摂取できるため、欧米では「栄養補給食材」や「ダイエット食品」として人気がある。

食べる直前に根を切り離すと、ビタミンの流出の心配もなく、新鮮で豊富な栄養をそのまま身体に取り入れることができるので、自分の台所で栽培するという新しい食のスタイルも流行している。 人工栽培や養殖の生鮮食品・加工食品など、活力のない食品を多く食べている現代人は、知らないうちに栄養不足の状態に陥りがち。「これは、現代人の健康状態を低下させるばかりか肥満の一因となります。人間の身体は、必要な栄養素が不足するとその栄養素を得るために、身体にもっと食べ続けろという信号を出します。太り気味の人の食欲が旺盛なのは、多くの場合、栄養のバランスが偏っていて、なんらかの栄養素が不足していることが要因なのです」と菅原食生態学研究所の菅原明子さん。

そこで“最良の植物性栄養源”として注目されているのが、スプラウト。植物の種子には、生命を維持するために必要な栄養素が凝縮され貯蔵されている。発芽の時には、そのエネルギーが一挙に開放され、植物ホルモンが作られ、ビタミンや栄養素も格段に増加し、栄養源の宝庫となる。「さらに、種の時にはなかった未知の栄養素も作られます」。新鮮な新芽を積極的に取ることは食生活の改善に役立つ。

◆スプラウトの仲間 mini事典

●かいわれ大根…ご存じ「かいわれ大根」はラディッシュを発芽させたもの。特有のピリッとした辛み成分・イソチオシアネートは、殺菌効果があり、よく噛んで食べるとその効果はますます高まる。また、体内ホルモンの一つ、メラトニンも効果的に補充できる。メラトニンは安眠を促したり、免疫力を高めたり、体内のバランスを整える働きがあるが、年齢を重ねるごとにその分泌量は低下する、と報告されている。

●ブロッコリー…がん抑制効果のある酵素・スルフォラファンを、成長したブロッコリーの約三〇倍以上も含む(ジョンズ・ホプキンス大、タラレー教授らの研究)ことで、いま話題のスプラウト。カロチン・ビタミンC・B1・B2などの抗酸化物質も豊富。マイルドな味わいでサラダやスープに合う。

●クレス…体内物質の代謝や利尿作用、胃液や胆汁の分泌促進、赤血球の形成を促すなど昔から優れた薬効で知られている。ピリッとしてスパイシーな味わいは、サンドイッチやサラダによく合う。

●レッドキャベツ…鮮やかな紫色のスプラウト。サラダに散らすと素晴らしいアクセントに。胃に優しい酵素を豊富に含むので、肉料理の付け合わせにオススメ。癖のない味わいは、子供やお年寄りにも好まれる。

●マスタード…ピリッと刺激がたまらないハーブ系のスプラウト。湿疹などの皮膚病に効果があるほか、腸内細菌に良い影響を及ぼすといわれている。サンドイッチやサラダ・スープに加えると味が引き立つ。 その他スプラウト

○その他スプラウト

●Green Sprout …緑葉を楽しむ

グリーンピース(豆苗)、オニオン、ソバ、フェヌグリーク、ヒマワリ、クローバー、ゴマ、カボチャ

●White Sprout…新芽を楽しむ

アルファルファ、グリーンマッペ、ブラックマッペ、ガルバンゾウ(ひよこ豆)、小豆、ピーナッツ、レンティル、レンズ豆、大豆、コメ

(資料提供=(株)村上農園、082・923・6080)

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