百歳への招待「長寿の源」食材を追う:五味子(ゴミシ)

2001.05.10 69号 11面

韓国は薬食思想が強く、食べるものはすべて薬になると考える。薬食・薬飯・薬酒・薬果・薬脯(干し肉)・薬念(調味料)・薬水などと呼び、大切に取り扱う。五味子・緑豆も薬食である。

(食品評論家・太木光一)

五味子は日本で「ゴミシ」と呼ぶ。韓国では「オミジャ」、中国では「ウーウェイジ」となる。五味(甘み・酸味・塩味・苦み・辛味)を持つので名付けられたもので、酸味の強いものが良品。この酸味はリンゴ酸・クエン酸・酒石酸などである。

モクレン科のツル性植物で、ツルの長さは最大で八メートルに達する。雌雄異株で樹木にからみついて成長する。5~7月にかけて黄白色の美しい九弁花を開き、深紅の果実を結ぶ。果期は8~9月にかけて。分布は中国の東北・華北・湖南・河西・四川など。中国から韓国に移り、韓国から日本に伝来した。

この薬効は広く効果的。中薬大辞典には、(1)中枢神経系統作用…大脳皮質を興奮させるので、作業能率を高揚させる(2)子宮的作用…子宮平滑筋への興奮作用もあり、収縮を強める(3)心血管系統的影響…肝臓障害によるトランスアミナーゼの増加を低下させる作用と強心の作用がある(4)鎮静作用…去痰・鎮咳(5)その他…視力向上など

が記されている。

この主要成分をみると、有機酸、ビタミンA・Cなど。薬理作用として斂肺滋腎・安神益智・渋精止瀉・中枢神経に対し強壮作用・智力活動を改善する作用が見られる。

神農本草経には「気を益し、陰を強くし男の精を増すと強精効果をあげている。このほか自汗・動悸・身体がだるい・口渇・頭熱・悪寒・治肺などに効果ありとしている。

以上にみるように、五味子は広範囲に薬効が見られるが、それを巧みに利用したものが五味子酒。風味豊かで色美しく、仕上がりはすばらしい。美しいこはく色かやや薄いぶどう酒となる。数少ない本草酒の中でもトップグループに入れられよう。

作り方は、果実の容量は容器に対して一〇分の三くらいが適量。砂糖は少なめに大さじ二~三杯。甘味が不足すれば好みによってあとから少量ずつ加える。一カ月半ぐらいから飲むことはできるが熟成には三カ月以上が必要。

飲み方はストレートかカクテルに。補精強壮の秘薬と呼べよう。ただし度を過ぎて飲まないように。効用として鎮静・疲労回復・食欲増進・冷え性・貧血症・神経痛・リウマチによく、特に美容効果も絶大である。

五味子茶も薬茶として知られ広く愛飲されている。

韓国でも五味子酒と五味子薬茶は古くから広く愛飲されている。薬茶は家庭保健用として水で薄めて砂糖と塩を加えて味を調えて冷やして飲まれている。手軽な薬飲料となる。

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