百歳への招待「長寿の源」食材を追う:哈蜜瓜(ハミウリ)

2001.06.10 70号 11面

山査子と哈蜜瓜はともに中国北西部の産で、日本にはあまり知られていない。しかし中国庶民の味として人気が高く将来性は大きい。食べやすさと価格の安い点が喜ばれ、しかも薬効も高く、これから日本でも普及しよう。 (食品評論家・太木光一)

哈蜜瓜は中国語で読むとハミグア、日本語ではハミウリとなる。中国の新彊ウイグル自治区の特産品で植物学上では厚皮甜瓜と呼ぶ。哈蜜とは地名で首都ウルムチと敦煌のほぼ中央部の地域をさす。古くは西域の名で呼ばれシルクロードが通っている。

この地域は肥沃でハミグアをはじめコメ・麦・綿・トルファンのブドウ・イリのリンゴなどでよく知られている。しかしハミグアが大量生産されるようになったのは解放後のこと。現在では全新彊で産出されている。

形は紡錘形の大型でラグビーボールのような形をして、小さなものは二キロ前後、大きなものは二〇キロに達するものもある。品種は多く一〇〇種を超え、果皮の色も黄色・茶色・緑色などまちまち。ネットのあるものとないものがある。次々と優良種の開発が進んでいる。

果肉が軟らかく口の中で溶けるようなものと、果皮は厚く果肉は硬く甘味の強いものの二種がある。歯触りはスイカに似てサクサクしているが水分は少なく締まっている。芳香があり独特の風味と程よい甘味があり、日本には一九八八年から輸入されている。

ウイグル自治区は昼夜の温度差が非常に大きいため甘味は比較的高く、市販のものは糖度一六前後で味にクセがないので日本人向き。特に天山山脈からの地下水を利用して有機栽培法で作られているので安全性は高い。

品質面でみれば早熟種では黄旦子と納西干が、中熟種では紅心脆が、晩熟種では炮台紅と黒眉毛密極干が最優良種といえる。出荷に当たっての品質検査は非常に厳しい。果肉は淡いオレンジ色のものが多く、冷やして皮を除き食べやすい大きさに切って食べるがなかなかおいしい。輸入された当初はシルクロードの秘果として人気を集めた。ハミウリは食べやすいばかりでなく栄養面でも優れている。別名「天然の漢方薬」とも呼ばれているが、消化吸収がよいばかりでなく、タンパク質・脂肪・カルシウム・リン・鉄などもみられる。ビタミンC、亜鉛や銅にも恵まれている。

鉄は牛乳の一七倍、ビタミンはリンゴの六倍と多く、そのほかビタミンB1・B2もみられる。しかも消化吸収の面で老人にも向く民間薬として腎臓病・胃病などによいとされる。また種子は結石を除き便秘によいとされ、セキを和らげるとする。成分的によいために前述の漢方薬という言葉が生まれたのである。

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