日本古来の伝統食「海苔」が血圧を下げるわけ
日本古来の伝統食品「海苔」。独特の磯の香りと風味に加え、タンパク質、ビタミンなど栄養価も豊富だ。最近の研究では海苔が血圧を下げることも解明されるなど、まさに自然が生んだ健康食品といえる。海が育んだ「海苔パワー」で、生活習慣病を予防しよう。
●海苔の健康的価値
海苔が持つ栄養素とはどのようなものか。海藻類の中でもタンパク質はずば抜けて高く、食物繊維(多糖類)も多い(表1)。特にタンパク質の含有量は他の食品と比べ際立っており、「畑の肉」大豆より多い。またA、B群、Cをはじめとするビタミンの宝庫でもあり、「海の緑黄色野菜」ともいわれている(表2)。その他、EPAやタウリンなども含む。
大手海苔メーカーの(株)白子(東京都江戸川区、03・5658・5311)は、こうした海苔の健康的価値に着目し、伝統的に食されてきた海苔の機能性をみつけようと、長年研究を行ってきた。
海苔に最も多く含まれる成分のタンパク質に注目し、平成元年から研究を開始。7年に三重大学の野田宏行名誉教授らが動物実験による海苔の降圧作用を報告したのを機に、同社では「海苔でなぜ血圧が下がるのか」を六年かけて追求してきた。研究を重ねた結果、海苔に含まれるタンパク質が胃などの消化器官で消化酵素・ペプシンにより分解されると海苔ペプチドができ、その結果として血圧が下がる「仕組み」をまず発見した。
●血圧降下の仕組み
それでは、海苔を食べるとどのような仕組みで血圧が下がるのか。
少し専門的な話になるが、血圧の上昇は「アンジオテンシン2」という血管を収縮させる物質が働いて起きる。この“2”は、「アンジオテンシン1」から「アンジオテンシン1変換酵素(ACE)」が働くことで作られるもの。海苔ペプチドはこの「ACE」を阻害して“2”ができなくなるように働くという。
また海苔はビタミン、ミネラルをはじめ、血圧に良いとされるカリウム、マグネシウムを多く含むため、白子ではこれらの成分と海苔ペプチドの総合作用で血圧が下がると捉えている。
海苔の降圧作用を実証するために、六四人のモニターで臨床試験を実施した。顆粒状の海苔ペプチドを一・八グラムずつ摂取する実験で、早い人は約一週間、遅い人でも二~三週間で約一〇%の血圧降下が見られた(図1)。一ヵ月間続けると約一五%ほど下がった。 海苔ペプチドは降圧剤などと違い薬ではないため、すべての人に効果が出たわけではない。しかし、約七割の人の血圧が下がり、血圧の数字に波がある人も安定したという結果が出た。「海苔の機能性を科学的に検証し、実際にデータを示すことで実用性を確認。古くから健康を重要視してきた日本の食文化の質の高さも実証できる」(萩野浩志健食事業部長)と自信を示す。
●薬効ある海藻“海菜”
白子オリジナルの「海苔有効利用」から生まれたのが「毎日海菜(かいさい)海苔ペプチド」だ。
商品名の由来は、古代中国の明時代に書かれた生薬の古典書「本草網目」から。同書では薬効のある海藻を“海菜”と記しており、海苔は“神仙菜”と呼ばれ、不老長寿の薬草(現在は紫菜と呼ぶ)とされていた。
海苔を食べると胃で消化酵素ペプシンが働き、ペプチドができる。しかし海苔は食物繊維が多く、消化率は高くない(約四八%)。同品はあらかじめ海苔(海苔タンパク)をペプシンで処理し完全消化型にしたもので、胃の中で起きている形をそのまま商品化したのが特徴だ。
当然、カルシウム、マグネシウム、その他海苔由来のミネラルなど豊富な栄養分もしっかり入っている。自然食品が原料なので、急に血圧が下がる「過降圧」の心配はない。
特許製法により抽出した海苔エキスを七五%配合、顆粒タイプで一スティック(一・二グラム)に海苔一枚分に相当する量が入っている。一日二スティックを目安に飲めば効果が期待でき、水などと一緒に飲むことで海苔二枚分の栄養素を簡単に無理なく摂取できる。スティックタイプなので外出先に持ち歩け、旅行などに行っても手軽に飲み続けることができる。
▽顆粒スティック一・二グラム×六〇包(約一ヵ月分)六〇〇〇円