ダインドクター食医:第12回「夏の養生」

2001.07.10 71号 16面

夏季は、夜が短い上、高温、多湿、低気圧という気候の影響で、夏バテで悩む人もいる。夏バテに克つには季節に応じた養生が大切だ。ポイントをまとめてみた。

●睡眠時間の確保

睡眠不足により昼夜のリズムが崩れてしまうと、ホルモン分泌や自律神経系などに混乱が起こり、夏バテの一因となる。

不眠に悩んでいる人はこの時期に一層つらくなる。不眠には、いろいろな原因があり、対処方法も違う。元々水分不足気味の体質の人は、炎暑の影響で体内の火が燃えやすくなり、手足のほてり、不眠、動悸、疲れ、口渇などが現れる場合は、「天王補心丹」や、西洋人参茶などがお勧め。

ストレスが溜まってイライラして眠れない、頭痛、耳鳴り、口が苦いなどの症状がある場合は、「瀉火利湿顆粒」が適応。

湿気の多い梅雨に身体が重くてだるく、頭がすっきりしない、寝ても夢が多くて疲れるという場合は体内の水はけが悪いのが主な原因。「星火温胆湯」などが適している。

●心と脳の保護

中医学では「暑気は心に通じる」というが、「心」は脳と血管の機能を含むと考えている。

だから炎暑の侵害から心脳血管を守ることは夏の養生の要だ。とりわけ高齢者、心脳血管に不安を抱えている人、および高血圧、糖尿病などがある人は一層の用心が必要。高温のため、動かなくても汗が出るので体内の水分も栄養素も消耗され、結果、エネルギーが不足するだけでなく、血液の粘度も上昇。血流が遅くなり、血栓を形成しやすくなる。

それによって、心筋梗塞、脳梗塞を誘発し、ひいては突然死を引き起こす恐れもある。心脳血管を守るには水分の摂取のみでは不十分だ。

水分のほか、種々の栄養素と酸素、そしてサラサラの血流が、健康な心脳を保つ基本要素である。「麦味参顆粒」は陰液(水分)を補いながら、心脳への栄養補給と元気づけの役割を果たす。さらに、酸欠状態から心筋細胞と脳組織を守る作用がある。「麦味参顆粒」と血流を良くする「冠元顆粒」を組み合わせるのは、夏の心脳保護に最も効果的な方法の一つだ。

●胃腸にやさしい食事

夏は消化機能が低下しがちなので、食べ物はあっさりとした、消化しやすいものにすべき。脂っこいもの、辛いものは控えめにしたい。中国では、昔から夏にお粥をよく食べる慣習がある。

例えば、菊花粥、緑豆粥、ヨクイニン粥、蓮子粥、荷葉粥など。暑気を清め、消化を助け、胃の気を養い、全身に元気を与える作用があるので、多くの人々に好まれている。また、新鮮な野菜や西瓜などの果物は栄養補充に優れ、熱中症を防ぐ作用もある。一方、清涼飲料やアイスクリームなどのような冷たいものは、身体の陽気を傷害し、下痢や冷え性、女性の生理不順などの原因になりかねないから、取り過ぎに注意が必要だ。

暑熱と湿気を解消し、精神的な緊張を和らげる作用のある「菊花茶」や「酸梅湯」などは夏のドリンクとして最適。「勝湿顆粒」は食中毒や飲み過ぎ、カゼなどによる胃腸の不調に予防と治療の効果がある夏の常備薬だ。

◆食医・安川哲二の秘密のレシピ『菊華ハトムギ粥』

菊花は暑熱を解消し、ハトムギは水分代謝を良好に、クコは目に栄養を与える。

<材料・4人分>

・鶏ササミ…………50グラム

・ハトムギ………100グラム

・コメ……………100グラム

・三ツ葉……………6本

・菊花(乾燥)………15グラム(生食用菊4個でも可)

・貝柱………………1個

・クコの実…………10粒

<作り方>

(1)ハトムギ、コメは洗いふやかす

(2)菊花はサッとボイルする

(3)ササミは薄切りして、塩・卵白・コショウ・片栗粉で下味をつける

(4)土鍋に水・貝柱・コメ・ハトムギを入れお粥を作り、菊花・クコの実・ササミ・塩小さじ2を入れ煮込み、最後に三ツ葉を散らす。

※ネギ・ショウガを細切りに、しょうゆ・ごま油をあわせ、添えて出す。

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