なが~いつきあい!味な友だち:シマヤ「シマヤだしの素」
日本の食生活にとって欠かせないのが「だし」。ある意味では、伝統の食文化を鰹節、昆布、椎茸から採られたうま味が黒子になって演出してきたと言っても言い過ぎではないだろう。けれど、一般家庭の主婦にとって、調理の際にだしを採る作業はなかなか手間と時間のかかる仕事。そんな時のお助け商品として人気なのが風味調味料である。
風味調味料の誕生は、昭和39(一九六四)年11月に山口県徳山市に本社がある(株)シマヤ(営業本部、06・6394・1631)が、開発した「みそ汁のだし」が第一号商品として登場してから始まった。45年に「シマヤだしの素」に改められたが、第一号の登場から今年で三七年目を数える。いまでは醤油などと並ぶ基礎調味料のひとつに数えられている。調理に要する時間を大幅に短縮し家庭で作るメニューを広げた、いわば調理革命をもたらした商品だ。調理する人にとっては必須調味料になっている。
同社の創業は明治23年、味噌の製造販売から始まる。醤油製造に進出したり、明治期にはハワイなどへ味噌の輸出に取り組んだりと積極的な経営で知られていた。「だしの素」の開発は、長年のだし研究の成果として、粉末の即席みそ汁「ふぐのみそ汁」を発売したが思わしくなく、それならばと即席みそ汁の調味料をヒントに改良を重ね、「みそ汁のだし」を完成させた。それが昭和39年のことだ。
翌年5月に東京・日本橋の三越本店で開催された山口県物産展に「みそ汁のだし」を出品し、ここで「婦人之友」友の会会員たちが購入していった。当時は化学調味料全盛の時代。やがて、友の会員から「みそ汁に使ったら化学調味料だけでは得られない豊かな風味が出た」として、追加注文が次から次へと入るようになり、同時に味噌卸や東京の百貨店を中心に販路を拡大していった。とくに百貨店での爆発的な売れ行きは調味料業界の注目を集めるところとなり、大手ブランドも参入してきた。
その間、41年に「鰹だしの素」、45年に「シマヤだしの素」に商品名を改称している。利用範囲も煮物などへとグーンと広がりをみせている。46年4月から始まった人気女優の長山藍子さんを起用したCMを記憶している人もいるだろう。長山さんは60年まで六〇本以上「だしの素」のCMに登場、これがキッカケで使い出した人も多いはずだ。
発売三五周年の平成11年、「やさしく、おいしく」をコンセプトに、「シマヤだしの素」は鰹節の製法改良などで、これまでよりもっと「おいしく」なった。
食欲の秋、おいしくなったシマヤのだしの素を使ったイモの煮っころがしを肴に、満月でも眺めながらリラックスするのはいかがだろうか。