百歳への招待「長寿の源」食材を追う:茅根(ちがや)
茅根(ちがや)と瓜呂根(かろこん=キカラスウリの根)は庶民にとって入手容易な薬材。前者は薬膳・薬粥・薬茶に、後者も薬粥・薬茶ほか広い範囲で利用され、ともに効用は極めて大きい。しかも利用法も簡単で味の点からも常用する信者が多い。日常に薬食を愛する中国でも人気が高い薬食材だ。(食品評論家・太木光一)
茅根(ちがや)はイネ科チガヤの根茎を乾燥したもの。
中国では「マオ・ゲン」と読む。この茅根は貴重な食材で、薬膳料理をはじめ薬粥や、十種を超える薬茶に利用される。
チガヤの分布は広く、中国全省・朝鮮半島におよび根茎を白茅根と呼び漢方薬剤として利用、花も白茅花と呼び薬剤とする。この成分はカリウム塩・しょ糖・ブドウ糖・果糖・キシローズなどの糖類とクエン酸・リンゴ酸などの有機酸も含まれている。
この薬味と薬性は甘にして寒である。薬能をみると白茅根は清熱・滋陰の薬物、また涼血・止血の作用もある。効用主治として、涼血・止血・清熱・利尿・治熱病煩渇・吐血・鼻血・熱喘急・小便不利・水腫・黄疸ほか(中薬大辞典より)。病状によっても差異はあるが、原則として一日一回の煎用がよく、特に急性腎炎・急性伝染性肝炎には効果的。根茎一〇グラムを三〇〇ccの水で煎じ一日三回服用するとよい。このため茅葛湯(茅根と葛根)などの市販品もみられる。
チガヤは全国に分布しているので日本の家庭でも容易に採取し薬剤をつくることができる。薬効は庶民に多くみられる病状によく効く。
(1)薬膳利用として
茅根湯…干し白茅根二五グラム・白糖二五〇グラム
材料をよく洗い切砕。鍋に入れ水を注ぐ。煎液をつくり残渣を除き、白糖を加える。これは一日の分量であり、二~三回に分けて飲む。連服は一~二週間。清熱・利尿・急性腎炎に効く。
(2)薬粥利用として
白茅根粥…白茅根一五グラム・菊花五グラム・桑葉一〇グラム・白糖適量・粳米一〇〇グラム
薬材三種を水煎してエキスを取り出しコメを加えて粥を作る。好みで白糖を加える。毎日一食を。連服は一週間を限度とする。
(3)薬茶利用として(アイテムは十指を超える)
茅根茶…白茅根一〇グラム・茶葉五グラム
白茅根を洗浄し、茶葉を全量加えて加水、残渣を捨て一日一杯服用。随時でよい。清熱・利尿・消炎解毒・涼血止血・急性と慢性の腎炎によく、伝染性肝炎にも効く。