百歳への招待「長寿の源」食材を追う:リンデン(菩提樹)

2001.12.10 76号 11面

香辛料として広く利用されているベイ(月桂樹)は、薬効性にも優れ愛用されている。リンデン(菩提樹)も精神安定作用からハーブティーや入浴剤として人気がある。ともに入手容易で安価なので、もっと活用していきたいものだ。(食品評論家・太木光一)

リンデンの日本名は菩提樹、三種類あり、まぎらわしい。釈迦がこの木の下で悟りを開いたといわれて神聖視されているのがインドボダイジュ・テンジクボダイジュ。中国にも菩提樹があり、古くから日本に渡来し各地の寺院に植えられている。樹皮は黄酒や白酒に漬けられ止咳の効果大。また花は花茶として愛用され鎮静・発汗・解熱剤として利用される。ヨーロッパの菩提樹も夏菩提樹・冬菩提樹・交配種の三種がみられる。葉の大きさが大・中・小となるが薬効面はほぼ同じ。大きさは二〇~三〇メートルにも成長。耐寒性の落葉樹で、美しい緑陰をつくり、この木の下にいるだけで心が安らぐといわれ、公園や街路樹に多く採用されている。

歴史の古い木で、ヨーロッパの主婦たちはその効用を巧みに利用している。ハーブティー、蜂蜜、ハーブバスなどとしてである。ハーブティーは花・苞葉・白木部分が利用される。中国のように漢方薬の発達していないヨーロッパではこのハーブティーを薬用として利用。

期待される薬効に鎮痙・鎮静作用があり、特に不眠症に効果的。また血液を浄化する作用もあり、狭心症や心筋梗塞を防止するともいわれる。

神経質やノイローゼなどによる不眠症にとっては強い味方となろう。さらに皮膚軟化、血圧降下をはじめ発汗や利尿作用・腎臓結石にもよいといわれる。

ハーブティーとしてのリンデンティーは爽やかで飲みやすく、疲れた神経を静めるのに適している。このため別名ベビーティーともリラックスティーとも呼ばれている。その他食用・飲料・オイル・酒用・化粧用品・ドライハーブ・入浴剤など驚くほど広く利用されている。リンデンの入浴剤も疲労回復や精神安定・不眠症対策に効果的。ほうろうかステンレス鍋に水一リットル、乾燥リンデン二分の一カップを布で包み弱火で三〇分ほど沸騰しないように煮出し、一回に一~二カップを入れて薬湯とする。庶民の健康・保健ハーブといえよう。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら