おはしで防ぐ現代病:レモンの抗酸化作用、ポリフェノールたっぷり
老化や美容の大敵といわれる活性酸素は、増えすぎるとがんや動脈硬化など生活習慣病を招くといわれる。私たちの身体には、活性酸素を消去する働きが備わっているが、四〇歳を過ぎるとその力が弱まってくる。さらに最近の食生活のコンビニ化・環境汚染・ストレスなど活性酸素を増やす要因は日常生活の中に激増中。そこで、抗酸化物質を含む食品を積極的に食べることが大切だ。レモンの抗酸化作用についてお茶の水女子大学近藤和雄教授に聞いた。(取材協力・資料提供=(株)ポッカコーポレーション)
活性酸素は、身体の中で過剰発生すると動脈硬化など生活習慣病発生の一因となるとされています。たとえば動脈硬化発生のメカニズムは、血液中の「悪玉コレステロール(LDL)」が酸化して「酸化LDL」に変化し血管の内皮細胞中に蓄積されることで、血管を狭め血流を悪くし、症状が進行していくと考えられています。
このLDLの酸化をブロックするのが、ポリフェノールなどの抗酸化物質。抗酸化物質を含む食品としては、赤ワインや緑茶などがよく知られていますが、研究の結果、レモンにも有用な抗酸化作用が認められています。
レモンにはご存じのとおり、ビタミンCが多く含まれており、それが抗酸化作用をもたらしているのではないかと想像されます。しかしそれだけではなかったのです。レモン果汁の抗酸化力を詳しく調べたところ、レモンのポリフェノールは、ビタミンC単体よりさらに強い抗酸化力を持つという結果を得ました。(グラフ参照)
ほとんどの柑橘系の果物はポリフェノールを含みますが、とくにレモンとライムは「エリオシトリン」というポリフェノールを有しています。このエリオシトリンは他の柑橘系には認められません。
酸素の中で生きている人間にとって、酸化は命を維持する大切な働きであるが、その働きが過剰になると、逆に病気を招くことにもなりかねません。そこで食べ物で抗酸化物質を補給し酸化を防ぐことが昔から世界中で行われてきました。
一五世紀のヨーロッパ大航海時代に大きな問題となっていたのは壊血病でした。不衛生な船内、厳しい気温、紫外線など、悪劣な環境下で伝染病をはじめとする病気が流行しました。当時の人はこれをレモン・ライムのジュースを飲むことで解決していたといわれています。抗酸化物質を含む食物によって病気から身を守るという知恵、船員の身体を守ったという点でレモンは大きな貢献をしたわけです。
オリーブ・トマト・赤ワイン・ココア・緑茶そしてレモンなど、抗酸化食品を日常的にバランスよく食べることが、健康で健やかな生活を過ごすポイントになるのです。