おはしで防ぐ現代病:オレンジジュースが高血圧を正常化、カリウムに注目

2002.06.10 82号 14面

「オレンジジュースの飲用は血圧を低下させる」‐‐と米国トロピカーナ社ニュートリションセンター栄養商品開発部長のナンシー・グリーン博士は継続的な飲用を勧める。オレンジジュースの高血圧・心臓病予防改善効果をはじめアメリカのカリウム効能研究の最新事情について、同博士の来日講演の内容を紹介しよう。(5月16日、東京千代田区の帝国ホテルで開催された『トロピカーナ100%セミナー』より)

高血圧は重大な身体状態であり、血管の壁への血液の圧力が持続的に高い状態をいいます。これは心臓・血管およびその他の臓器によけいなストレスをかけ、さまざまな心血管疾患や腎臓病のリスクを高めることになります。現在、アメリカの高血圧患者は五〇〇〇万人といわれ、主要死因第三位の脳卒中にとっても重大なリスク要因です。

アメリカでは一九九〇年代後半にDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension=高血圧予防のための食生活の提案)という食事が、最大血圧を五・五ミリ/Hg低下させることが医学的に証明され、現在でも栄養指導の基本になっています。

またアメリカ心臓協会は、広範囲にわたる果物と野菜の摂取を推奨。カリウムをより多く摂取することで血圧は低下し、脳卒中のリスク低下に寄与するとの食事指針を発表しています。

カリウムは、正常な血圧の維持・エネルギーの代謝増進・水分とミネラルのバランス(むくみ解消)・筋肉の収縮・神経信号の伝達などに効果がある注目の栄養素です。

全米最高の心臓病研究機関「クリーブランド・クリニック」のスプレッチャー医師(予防心臓学)らは今年3月、アメリカン・カレッジ・オブ・カーディオロジー(心臓学)で「一〇〇%オレンジジュースの飲用は血圧を低下させる」と発表しました。

実験ではコップ二杯の一〇〇%オレンジジュースを六週間毎日飲み、二週間ごとに血圧を計測。その結果、最大血圧が平均七%、最小血圧は四・六%低下。体重・血糖値の増加はなく、オレンジジュースの飲用を中止すると再び血圧が上昇しました。

一〇〇%オレンジジュースは二四〇ミリリットル当たり四五〇ミリグラム(一日所要量の一三%)のカリウムを含んでいます。またカリウムのほか、ビタミンC・葉酸など心臓によい栄養素とフィトケミカル(植物化学物質)も含まれています。

FDA(Food and Drug Administration=米国食品医薬品局)はトロピカーナ社のオレンジジュースのパッケージに「優れたカリウム源でナトリウム分の少ない食品摂取は、高血圧と脳卒中のリスクを低減させる」との表示を認めています。

このような食品成分の効能表示の認可基準はアメリカでも厳しく規制されていて、カリウムに関しては、一回摂取量当たり最低三五〇ミリグラム(一日必要量の一〇%)が含まれる食品に限って表示が認められています。

高血圧や脳卒中のリスク低下、心臓血管の健康増進のため、効率よくカリウムを摂取できる一〇〇%オレンジジュースを継続的に飲むことをおすすめします。

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