ヘルシートーク:女優、タレント 浅田美代子さん
「平成」という時代とともに産声を上げ、いまを生きるすべての人の現実と希望を描いてきた『釣りバカ日誌』シリーズが、このお正月作品をもってファイナルを迎える。14本の長きにわたって、主人公ハマちゃん(西田敏行さん)の愛妻・みち子さんを演じてきた浅田美代子さんに、こぼれ話等をうかがった。
◆みち子さんと私の共通点は…
みち子さんと私の共通点ですか。みち子さんは素晴らしい人ですから、私とはまったく違います。この作品のおかげで、私はいい奥さんのイメージがついて、ホント嬉しいですけれど(笑)。優しくて、旦那さんのハマちゃんの言うことを何でも聞いてあげているように見えるけれど、実は手の平の上でハマちゃんをコロコロ転がしてるんじゃないかと思います。大きな子どもみたいで、ホントにかわいいと思っている。みち子さんは理想の奥さんみたいに描かれていますが、案外ハマちゃんのほうが理想の旦那さんかもしれませんね。だって浮気もしないし、あれだけみち子さんみち子さんって愛してくれてたら、奥さん冥利につきます。
けれど今回、「ハマちゃんて、ホントに私以外に好きな女の人がいたり、好きになられたりしなかったの?」と聞いて、「そうだよ」って真面目に答えられてムッとするシーンがあるんですね。旦那さんがあまりにもモテない現実を知ってしまってムッとしちゃうんだけど。そういうところもかわいいと思いました。このみち子さんという人は(笑)。
ハマちゃんとスーさん(三國連太郎さん)は日本全国、いろいろな土地に釣りに行きましたが、みち子さんはほとんどお留守番で、皆さんほどは地方ロケはなかったです。けれど沖縄、岡山、長崎、秋田…行きましたよ。やっぱり思い出は食べ物です。長崎の佐世保バーガーはその時に知ってビックリ。それからやっぱり秋田のきりたんぽ。おいしかった~。
◆チャチャッと作る野菜料理が、得意
料理は好きです。ああ、そこはみち子さんと共通点になるかな。料理はストレス解消にもなります。凝ったものはしなくて、自分で勝手にチャチャッと作る感じですね。必ず野菜はメニューに入れています。外で食べるとコッテリした物が多いし、こういうお仕事をしているとお昼はお弁当でどうしても野菜が不足するので、家で食べる時はとにかく野菜。きょうは何種類?みたいに数えちゃったりしますよ。
昨日は、はすとごぼうと里芋、それにしいたけが2枚残ってたからそれも一緒に、牛肉と炒め煮みたいにしました。意外と冷蔵庫に腐り物ってないです。里芋が1個余ったら、2~3日後におみそ汁に入れたり。使いきりますね、ちゃんと(笑)。セロリの葉っぱなら取っておいてカレーの時に入れたり。香りが良くなるでしょう。この間ケチャップごはんが妙に食べたくなって、チキンライスを作ろうと。でもたまねぎがなくて、白ねぎでやったらおいしかったです。
◆ぬか床は母の形見
野菜と果物だけじゃないですか、旬のものって。旬のお肉って聞かないですよね(笑)。うちの母が「初ものよ」って言いながら、よく食卓に出してくれました。「初もの」っていう言葉、大好きなんですよ。
旬のもの、いまだったらねぎかな。下仁田ねぎは鍋に入れても、焼くだけでもいい。普通の白いねぎも、あさつきみたいなのも大好き。ねぎは偉いと思いますよ。だってグラタンとかの洋食にもできるし、もちろん和食は何でもあり。それからねぎ油。みじん切りにしてサラダオイルをまぜ30分おいて。これで野菜を蒸してお醤油をかけると、めちゃくちゃおいしい。
漬け物もいいですね。朝、かぶをポンと入れておくと、夕食の時には浅漬けができてます。大根だったら丸一日。セロリなんかも結構おいしい。そんなに大変じゃないですよ。神経質に毎日手を入れなくても2日にいっぺんぐらいでも意外と平気。でもゴム手袋ではダメですね、手でやったほうがいい。ぬかみその匂いが好きなんです。手もツルツルになります。
ぬか床は8年前、亡くなった母から受け継いだものなんです。結構しょっちゅう母もダメにしてたくせに、私はよくもってるなあと自分で思います。母の形見と思うとね。このぬか床のおかげもあって、野菜を毎日たくさん摂れます。母がそうしてくれてるのかな。
○プロフィル
あさだ・みよこ 1956年、東京生まれ。1973年、「時間ですよ」(TBS)でデビュー。アイドルとして一世を風靡。だれからも愛されるキャラクターで、ジャンルを問わず活躍する。近年の出演は「オトコマエ!」(08/NHK)、「警官の血」(09/EX)、「さんまのスーパーからくりTV」(TBS)。映画は『受験のシンデレラ』(08)、『空へ -救いの翼 RESCUE WINGS-』(08)など。
一流企業・鈴木建設の経営者として、時代の現実に直面し苦悩するスーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)。一方、自分の道を突き進み、趣味の釣りと家庭をこよなく愛する万年ヒラ社員・ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)。この両極の2人が織りなす物語に、みな共感し、笑い、生きる希望を見いだしてきた。
記念すべき最後のロケ地となったのは、シリーズ初となる北海道。中標津町、厚岸町など道東の豊かな大自然が舞台。ゲストにはスーさんの亡き親友の娘で料亭の女将・葉子役に松坂慶子、葉子の娘で北海道の獣医・裕美役に吹石一恵、裕美の恋人で牧場の跡取り息子・俊介役に塚本高史。
製作・配給:松竹株式会社 12月26日(土)全国お正月ロードショー
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一番最後の撮影は浜崎家のシーンでした。
スーさんとハマちゃんと私、ハッちゃん。いつものメンバーですね。狭いながらも温かいあの家がね、もうなくなっちゃうのかと思ったら、やっぱり感極まっちゃいました。なんか自分の家みたいな感覚になっていて(笑)。キャスト、スタッフ、本当の家族のようでした。