旧暦で楽しむ漢方スローライフ(1)穀雨
旧暦の二十四節気でいう穀雨(こくう)とは、いまのカレンダーで4月20日あたりのこと。春雨が大地を潤し、野山では植物が発芽してすくすくと育ちます。穀物を潤し、育てる雨の降る頃というのが「穀雨」の由来です。この頃になると霜が降りることがなくなり、変わりやすかった天気も安定し、春の陽気が自然界に満ちていきます。
◆肝に気をつけて爽やかに
中医学(中国の伝統医学)では「五行学説」という考えがあり、宇宙や自然界、ものごとを構成するすべてのものは「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)」のいずれかの特性を持つと考えます。この法則に人体を当てはめて分類(肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん))し、季節(春・夏・長夏・秋・冬)や季節の特徴(風(ふう)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・寒(かん))など、自然の影響を考えながら身体を整えていきます。
この考え方からみると穀雨の頃、春は「木(もく)」に属し、万物がのびやかに生まれ育ち、新陳代謝が活発になる季節です。五行では感情の調節機能や新陳代謝、身体に必要な栄養分である血(けつ)を貯蔵し調節する機能を持つ「肝」が当てはまります。「肝」は春の特徴と同じようにのびのびとしている状態を好むので、ストレスが溜まると、イライラしたり情緒不安定になりやすく、消化器系の不調や疲労感などが現れやすくなります。
◆薬膳(食の養生)で対策を
この時季は「肝」を養い、気の流れを良くしながら「脾(消化器系)」の働きを高める食材がお薦めです。アサリ、ハマグリ、シジミなどの貝類、レバー、カツオ、カレイ、にんじん、枸杞の実、梅干し、柑橘類、セロリ、ウド、タケノコ、菜の花などを食事に取り入れましょう。
漢方処方では、ストレスを和らげ肝を整え、脾の働きを助ける生薬配合の『逍遙散(しょうようさん)』がよく使われています。
生活面では、早起きを心がけ、散歩など軽い運動を積極的に行い、のびやかに春の陽気を楽しみましょう。
●お手軽薬膳レシピ:アサリの洋風炊き込みごはん(カレー風味)
肝を養うアサリ、セロリ、にんじんに、気のめぐりを良くするカレー粉を加え炊くだけ。
◆アサリの洋風炊き込みごはん(カレー風味)
〈材料・4人分〉
・米………………………2合
・アサリ(むき身)……100g
・たまねぎ………………1/4個
・セロリ…………………5cm
・にんじん………………3cm
・カレー粉………………大さじ1
・固形スープの素………1個
・塩………………………小さじ1/2
〈作り方〉
(1)たまねぎ、セロリ、にんじんはみじん切りにする。
(2)米を研ぎ、炊飯器に入れて白米の水加減にして、カレー粉と砕いた固形スープの素と塩を加えて軽くまぜ、上に(1)の材料とアサリをのせて炊く。
●季節のオススメ養生茶
仏手茶(ぶっしゅちゃ)…ミカン科仏手柑をお茶にしました。