旧暦で楽しむ漢方スローライフ(9)冬至

2010.12.10 185号 08面
「イスクラ衛益顆粒」

「イスクラ衛益顆粒」

「鮭のぞうすい」

「鮭のぞうすい」

 ●冬至(とうじ)…12月22日頃 寒さが厳しくなる

   *   *   *

 一年で最も昼が短くなる冬至。この頃から寒さがいっそう厳しくなります。街中がクリスマスのイルミネーションで華やかに装飾され、年末年始に向かい、時間があわただしく過ぎていきます。

 ◆身体を守る「気」の働き

 中医学(中国の伝統医学)では、体内の「気」(エネルギー)は、ウイルスなどの外邪(がいじゃ)から身体を守る「抵抗力」や「免疫力」の役割を果たしていると考えます。「気」は粘膜や皮膚をバリアのように覆い、外邪から身を守ってくれているのです。疲労やストレス、睡眠不足、冷えなどにより「気」が不足すると、抵抗力が低下し風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。まずは、栄養と睡眠をしっかりと取ることで、「気」を補充しておきたいところです。

 ◆予防は体力づくりから

 本格的な冬の到来を意味する冬至には、かぼちゃで栄養をつけ、香りの良いゆず湯に入って身体を芯から温め、無病息災を祈るという風習があります。

 かぼちゃは冬のイメージがありますが、収穫されるのは夏で、「気」を補う作用があり、消化も良く栄養面からも冬の体力作りにおすすめの食材です。煮物やポタージュ、グラタンやお菓子など、さまざまな料理に応用できます。乱切りしたかぼちゃに小豆を加えて煮た「いとこ煮」は、お子さんが喜ぶおやつになります。

 このほか、白米、山芋、里芋、たまねぎ、ねぎ、にんにく、きのこ、豆腐、ゆば、卵、鮭、太刀魚、鯛、牛肉、鶏肉、羊肉など、「気」を補い身体を温める食材を食事に取り入れましょう。

 漢方では、黄耆白朮(おうぎにびゃくじゅつ)、防風(ぼうふう)を加えた『イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)』や、薬用人参、麦門冬(ばくもんどう)、五味子(ごみし)配合の『イスクラ麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)』などが「気」を補う処方としてよく使われています。

 人ごみではマスクの着用、外出後にはうがいや手洗いを忘れずに。

 それでも風邪をひいてしまった時は、寒気がする、水っぽい鼻水が出るなどの症状には『葛根湯(かっこんとう)』を、のどの痛みや渇き、発熱などを伴う時には『天津感冒片(てんしんかんぼうへん)』で、早めの対処をおすすめします。

 ●お手軽薬膳レシピ

 「気」を補う鮭と卵でぞうすいを。しょうがとねぎで身体の内側からポカポカに

 ◆「鮭のぞうすい」

 〈材料・2人分〉

 ・塩鮭(甘口)…………1切れ

 ・ごはん…………………茶碗1.5杯分

 ・しょうが(せん切り)…1/2かけ

 ・長ねぎ(せん切り)…10cm

 ・だし……………………3カップ

 ・酒………………………大さじ1

 ・しょうゆ………………小さじ1

 ・塩………………………ひとつまみ

 ・卵………………………1個

 ・三つ葉(ざく切り)…適量

 〈作り方〉

 (1)塩鮭は焼いて、皮と骨を取り除いてほぐす。

 (2)ごはんはサッと洗ってぬめりを取り、水けを切る。

 (3)鍋にだし、酒、しょうゆ、塩を入れて煮立て、(2)としょうが、長ねぎを加える。ひと煮立ちしたら弱火にして1~2分煮る。

 (4)(1)を加えて沸騰させ、溶き卵をまわし入れる。

 (5)器に盛り付け、三つ葉をのせる。

 レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士)

 ●季節のオススメ養生茶:棗茶(なつめちゃ)

 ほんのり甘くてやさしい味。美容にもおすすめ。

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