旧暦で楽しむ漢方スローライフ(14)小満

2011.05.10 190号 08面
「新ごぼうの豚ロース巻き」

「新ごぼうの豚ロース巻き」

「イスクラ勝湿顆粒」

「イスクラ勝湿顆粒」

 ○小満(しょうまん) 5月21日 初夏の汗ばむ陽気

 5月も中旬を過ぎると、夏を思わせるような強い日差しが照りつけ、木々の緑もより色濃くなっていきます。麦が実を結び始め、日増しに熟していきますが、まだ収穫にはいたらないので小満といいます。

 ◆意外と多い皮膚トラブル

 春から初夏にかけて、植物や動物の活動が活発になるのと同様に、人の身体も動きが活発になり、エネルギーを外へ発散するようになります。この働きによって、体内の老廃物が外へ排出されやすくなります。そのため、落ち着いていたはずの皮膚の発疹や、ジュクジュクする症状が出やすくなっている人も多いのではないでしょうか。

 皮膚トラブルは、気候や環境の変化、アレルゲンといった外からの要因と、身体の不調、アレルギー体質などの体内の要因が主な原因となって発生するとされています。

 ◆肺と脾胃(ひい)の機能を高めよう

 中医学(中国の伝統医学)では、皮膚は五臓の「肺」にあたるため、まずは肺の機能を整えることが大切です。ジュクジュクした症状は「脾胃」(消化器系)の機能を高め、体内の余分な湿を排泄することが必要です。皮膚の炎症には、体内の熱を取り除くことが有効。イライラやストレスも症状悪化の原因となるので注意が必要です。

 食事の面では、香りの良いもの、辛味のあるもの、利尿作用のあるもの、苦味のあるものなどを取り入れましょう。食材では、小麦、そば、粟、ハトムギ、新ごぼう、せり、しそ、三つ葉、セロリ、小松菜、トマト、いちご、キウイ、緑茶、豆腐、豚肉、卵、牛乳、海藻類などがおすすめです。

 漢方では、湿疹ができて身体のあちこちに痒みがある場合には「消風散(しょうふうさん)」が、ジュクジュクした症状や下半身の症状、口がネバネバする、食欲不振、軟便などには「イスクラ勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」が、皮膚の熱感、赤み、炎症などには「五味消毒飲加減方ごみしょうどくいんかげんほう」などが良く使われています。

 また、この時期は五臓の「心しん」の活動も盛んになるので、ウコギ科の「西洋人参」などのハーブもおすすめです。

 ●お手軽薬膳レシピ:新ごぼうの豚ロース巻き

 さわやかな苦味の新ごぼうで肺の機能をアップ。せりのおひたしを添えて。

 ◆「新ごぼうの豚ロース巻き」

 〈材料・2人分〉

 ・新ごぼう……20cm

 ・豚ロース肉(薄切り)……8枚

 ・せり…………1束

 A・酒…………大さじ1

 A・しょうゆ…大さじ1/2

 ・小麦粉………適量

 ・サラダ油……大さじ1/2

 B・酒………………大さじ1

 B・しょうゆ………大さじ1/2

 B・みりん…………大さじ1/2

 B・塩、こしょう…少々

 〈作り方〉

 (1)新ごぼうはたわしで洗い、長さ10cm、縦1/4に切る。酢水につけてアクを抜き、熱湯で火が通るまで約5分茹でる。豚肉はAで下味をつける。せりは塩茹でし、冷水に取って水気を絞り、4cm長さに切る。

 (2)豚肉の汁けを取り、2枚を広げて少し重ね、(1)のごぼうを2本のせ、端からしっかりと巻いて楊枝で止める。残りも同様にする。

 (3)小麦粉を全体にまぶし、サラダ油を熱したフライパンに入れて、転がしながら中火で焼く。肉に火が通ったらBを加えて全体にからめる。

 (4)半分に切って器に盛り付け、せりのおひたしを添える。

 レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士)

 ●季節のオススメ養生茶:香西洋参(しゃんせいようじん)

 心を養う西洋人参のお茶。ほんのりとした苦味と香りが特徴。

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