季節を楽しむ漢方スローライフ(35)ひな祭り
「イカとにんじんのバターしょうゆ炒め」
「イスクラ参茸補血丸」
●ひな祭り 3月3日
春の養生で健やかに
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3月3日はひな祭り。あでやかなひな人形を飾り、女の子の健やかな成長を願います。この祭りは「上巳の節句」とも言われ、もともとは紙の人形を水に流し、災いや穢れを祓う中国の行事。日本に伝わったいまも、ひな人形には厄除けの桃の花、身体の邪気を祓う白酒、健康を願う菱餅などが供えられています。
◆春は心と身体の「発散」を
寒さが少しずつやわらぎ、季節はもうすぐ春。庭の花芽がふくらみ、生き物が元気に動き始めます。
中医学(中国の伝統医学)ではこの季節を「発陳」と呼び、内にこもった気持ちや体内の老廃物を発散させる時期と考えます。早寝早起きを心がけ、春の陽気に合わせていきいきと活発に過ごすよう心がけましょう。
春は五臓の一つ「肝」を健やかに保つことも大切。肝は全身の「気(生命エネルギー)」をスムーズに巡らせ、血流を良くしたり、気持ちを安定させたりする働きを担っています。また、「血」を貯蔵し、必要に応じて全身に届けることも肝の重要な役割です。
これらの機能が低下すると月経障害や貧血、情緒不安定といった不調が現れることも。肝の元気は、女性が健やかな生理を迎え、心身ともに健康に過ごすための大切なカギ。早めの養生を心がけ、春を気持ちよく迎えましょう。
◆のびのび過ごして「肝」を元気に
肝を元気にする基本は、春の草木と同じように、心も身体ものびのびとした状態を保つこと。ストレスを上手に発散し、積極的に身体を動かすよう心がけましょう。バランスの良い食事や質の良い睡眠を心がけ、体内の血を十分に養うことも大切です。
「肝腎同源」という言葉がある通り、肝の元気は「腎」の働きとも深く関わっています。腎は寒さに弱いため、身体をしっかり温めて春の冷えから守りましょう。
この時期、肝の働きを養うためにおすすめの食材は、ねぎ、しょうが、にんじん、ほうれん草、えんどう豆、たけのこ、じゃがいも、山いも、イカ、ホタテ、レバー、ごま、枸杞の実など。
漢方では、身体を温めて気や血を補う『イスクラ参茸補血丸』などがよく使われます。
「監修」仝選甫(中医学講師)
●ハレの日薬膳レシピ:「イカとにんじんのバターしょうゆ炒め」
血を養うイカとにんじんを使って
〈材料・2人分〉
・イカの胴………1杯分(約100g)
・にんじん………1/4本
・じゃがいも……中1個
・絹さや…………12枚
・サラダ油……小さじ2
・バター……大さじ1/2
・しょうゆ……大さじ1
〈作り方〉
(1)イカは皮をむいて長さ4cm、幅1.5cmの短冊切りにする。
(2)にんじんとじゃがいもは皮をむき、それぞれ長さ4cm、幅1.5cmの短冊切りにする。じゃがいもは水にさらして水気を切る。
(3)塩(分量外)を加えた熱湯で、筋を取った絹さや、(1)のイカの順にさっと茹でて水に取り、水気を切る。
(4)フライパンにサラダ油を熱し、にんじんを入れて炒め、しんなりしてきたら、じゃがいもを加えて炒める。じゃがいもが透き通ってきたら、(3)のイカと絹さやを加えて炒め合わせ、最後にバターとしょうゆを加えて全体にからませる。
●季節のオススメドリンク
こう瑰茶 不安感やイライラの解消に。華やかなバラの香りが広がります
●たんや老廃物を出すたけのこ。もうじき旬の季節
カレンダーの中からハレの日や旧暦の行事を見つけたら、その由来をお話ししませんか。季節の移ろいを楽しみながら。