ヘルシートーク:管理栄養士・麻生れいみさん

2019.07.01 288号 05面
「麻生れいみ式 いつ会っても若い人の食べ方の新常識」

「麻生れいみ式 いつ会っても若い人の食べ方の新常識」

 ◆~食生活は生き方につながる~ “若食べ”習慣で身体年齢を若くしましょう!

 麻生れいみさんは、累計97万部の著書を持つ、テレビや雑誌でひっぱりだこの人気管理栄養士。かつては65kgあった体重が、いまではなんと45kg。スリムな体型を維持し、身体年齢は実年齢のマイナス10歳以上。若さを保つ秘訣は? その答えが、「若くなる食べ方=若食べ」。10歳若返るスゴイ食事術が書かれた著書と、いますぐ始められる“若食べ”のポイントを教えていただきました。

 ●食生活の偏りが身体を老けこませる 私は実年齢より10歳も若いんです!

 私は、「いつ会ってもお若いですね」「肌がとてもきれいですね」と言われることが多いのですが、本の出版を機に、見た目だけでなく身体も本当に若いのか測定してみました。

 すると、脳年齢が40歳、肌年齢が45歳、血管年齢が44歳という結果でした。老化度(糖化年齢)においては36歳で、実際の年齢は55歳ですから、20歳近く若いことが判明したのです。本当に驚きです。

 とはいっても美容に高いお金をかけていたり、特別なサプリを飲んでいるわけではありません。ただ、毎日「こげない」「さびない」食生活を実践しているだけです。その食べ方こそが“若食べ”です。

 そんな私ですが、30代のころは多忙によるプレッシャーから食欲へ逃げ、最盛期は65kgもあったのです。“若食べ”によって、気づいたら1年間で20kgもやせていました。

 この経験をきっかけに栄養学を学び、これまで6000人の食事を指導してきました。“若食べ”を実践して、「やせた」「健康になった」「人生が変わった」という人が大勢いらっしゃいます。

 私たちの身体は、食べるものでつくられています。偏った食事をしていると身体の中に「こげ」や「さび」が溜まり、老けこんでしまいます。若々しい血管を保ち、血流を良くし、骨を丈夫にし、肌と髪のツヤとハリを保つことすべてに食事がかかわっているのです。

 ●5つのルールで身体年齢を若く保つ ごはんや麺類は食事の締めに

 “若食べ”の5つの法則をご紹介しましょう。1つは「抗酸化食材」を活用すること。糖化反応を阻害するα-リポ酸を含むほうれん草、トマト、さやいんげんは若食べ食材です。ビタミンA・C・E・B2を含む食材を積極的に活用すると身体のさびつきが抑制されます。

 次に、糖化した食材(老け食べ食材)を取りすぎないこと。糖化というのは「こげつき」。身体の中のたんぱく質が、食事で取った糖とくっついて劣化する反応です。こげ(AGE)が体内に増えると老化を早め、病気のリスクが高まることが分かってきています。ファストフードや加熱しすぎた(こげた)ものはなるべく避けましょう。

 3つめは、血糖値を上昇させない食べ方。よく噛んで食べる、ベジファースト(野菜を先に食べる)、会席料理のようにごはんは最後に食べる、きのこなど食物繊維の多い食材から先に食べる。これらのポイントを押さえれば、食後は血糖値が急上昇しにくくなります。ごはんやうどんなど、糖質の高いものを食事の締めに食べるのが若さを保つ秘訣です。

 4つ目は、ゆっくり食べて食後は動くこと。ゆっくり食べると、よく噛んで食べることになり、消化吸収も良くなり脳の活性化にもつながります。食後はちょこちょこ動くと血糖値の急上昇を抑えるというデータがあります。

 最後は、調理法を工夫し、こげ(AGE)を減らすこと。調理のしかたひとつで、AGEをコントロールすることができるのです。

 ●揚げるより焼く、ゆでるより「生」で “若食べ”の極意はシンプル調理

 身体が糖化しにくい食べ方は、なんといっても生です。だから“若食べ”は、料理が苦手な人や多忙な人にうってつけの食べ方です。蒸す・ゆでる→煮る→炒める→焼く→揚げるの順でAGE量は多くなると言われます。揚げ物を食べる時にはレモンや酢をかけましょう。糖化反応が軽減されます。

 この時期なら、旬のみょうがが若食べ食材ですね。みょうがに含まれるゲラニオールという成分が女性ホルモン「エストロゲン」の分泌を高め、骨の形成を促進し、肌や髪の潤いを保ちます。

 毎日でも食べたいのは、ブロッコリーの新芽、ブロッコリースプラウト。発がん性物質や活性酸素を解毒し、体外に排出させる代謝酵素を生成する働きを持つスルフォラファン(ファイトケミカル)をブロッコリーよりも7倍多く含み、約200種以上あるファイトケミカルの中でも最も強い抗酸化力を持つとも言われています。どちらも生で食べられますから、冷奴のトッピングなどにオススメです。

 1日に必要な野菜摂取量は350gですが、現代人はその半分も取れていないのが現状です。いまはカット野菜や冷凍野菜など、手軽で便利なものが多く売られています。ぜひ積極的に活用したいものです。

 また、1つの食材を「ばっかり食べ」せず、さまざまな食材を組み合わせるのも“若食べ”です。がんを抑制するとされるβ-グルカンを含むきのこも、ぶなしめじ、エリンギと取り混ぜて食べるのが理想です。

 “若食べ”は、ダイエットというよりも生き方そのものです。食生活をマネジメントすることで、身体が変わり、心が変わり、健康で若々しい自分に生まれ変われるのです。

 ●プロフィール

 あそう・れいみ 管理栄養士。日本病態栄養学会会員・日本抗加齢医学会会員・食育栄養インストラクター。“若食べ”ダイエットで20kg減量したことをきっかけに、栄養学を学ぶ。現在、管理栄養士として大手企業の特定保健指導・栄養相談、病院の臨床研究における栄養療法を監修。これまでに6000人のダイエットを指導。今回、身体年齢を測定し、実年齢より10歳以上若いという結果に。

 ◆本の中身ちょっと拝見:『麻生れいみ式 いつ会っても若い人の食べ方の新常識』

 麻生れいみ著・中村康宏監修/主婦の友社刊

 定価1,200円(税別)

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