漢方スローライフ 季節と一緒にいい加減(137)処暑 どうして暑さは遅れてくるの?
なすと豚肉のトマト煮
●24節気 処暑(8月23日~9月6日)
「来て止まる」という意味の「処」。ようやく暑さがおさまる時期です。七十二候では、初候は「綿のはなしべ開く」と、綿花の摘む時期を。次候は「天地はじめてさむし」と暑さがおさまり始めることを。末候は「こくものみのる」と、田に稲が実る様子を描いています。とはいえ、実際にはまだまだ残暑が続きます。
そもそも、なぜ暑さは「夏至」よりも遅れてくるのでしょうか。
日照時間が長いと気温が上がります。ならば昼間が最も長い夏至の頃、つまり6月の気温が最も高いはずですね。しかし、太陽エネルギーは主に可視光線として送られます。空気は透明なので、可視光線は素通ししてしまい直接空気を温められません。日差しが地面や海面に届いてやっとそれらを温めることができ、その熱が空気に伝わって気温が上がるから、が正解です。また、上がった地面の熱は、日没後すべて冷めるのではなく日々少しずつ貯まり、8月に最も多くなります。
夏至がある6月より8月の方が暑くなるのは、このためです。残暑はこの逆で、地面が冷えるのにも時間がかかるからです。太陽エネルギーが地面を温めるのに2カ月近くかかるなんて、地表はとても広いのですね。
●気象歳時記
五運六気・辛丑年(2021年)
処暑から7日以降は、客運が太宮、中運が水運不及で湿気の多い残暑になるかもしれません。
●なす
【栄養学】水分が多く、カリウムが豊富。皮ごと食べるのが効果的です。皮に多いナスニンには抗酸化作用があり、老化を予防します。
【薬膳学】身体のほてりを鎮めて、冷まします。血液の流れを良くし、むくみ解消が期待できます。
東京栄養士薬膳研究会 管理栄養士・国際薬膳師 片山芳子(レシピも)
◆なすと豚肉のトマト煮
老化予防と夏バテの回復に
エネルギー127kcal たんぱく質7.6g 塩分0.7g(1人分)
<材料・2人分>
・なす……中2本
・豚ロース肉(薄切り)……60g
・しいたけ……中3枚
・トマト……中1/2個
・青じそ……2枚
・ごま油……小さじ2
・だし汁……150ml
A・しょうゆ……小さじ2弱
A・砂糖……小さじ1
A・酒……大さじ1
<作り方>
(1)なすはヘタをとり、大きめの乱切りにする。しいたけは軸を取って、縦4等分にする。トマトは大きめのザク切り、豚肉はひと口大に切る。
(2)フライパンにごま油を熱し、豚肉を炒めて端に寄せ、なすは焼き目がつくように焼く。しいたけ、だし汁、Aを加え、トマトも入れてフタをし、中火で10分煮る。
(3)汁が少なくなったら火を止める。器に盛りつけ、青じそのせん切りを飾る。