72候を楽しむ漢方スローライフ(102)雷乃声を収む

2018.08.31 278号 08面
豚しゃぶと梨ごまソース

豚しゃぶと梨ごまソース

 見上げる空に秋を感じて(秋分初候 9月23~27日頃)

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 ゴロゴロと鳴り響いていた夏の雷が収まる頃。空を見上げると、入道雲の代わりにうろこ雲が浮かんでいます。この時期、秋分の頃にふと気づくのが、日暮れの早さ。太陽の出番がだんだんと少なくなり、その分気温も落ちて、季節は秋本番へと向かっていきます。

 ●長引く「空咳」に気をつけて

 厳しい残暑もようやく落ち着く9月。この時期は爽やかな気候の一方、空気が乾燥し、空咳やのどのイガイガ感といった不調に悩まされやすくなります。

 漢方では、こうした呼吸器系のトラブルは「肺」がダメージを受けているサインと考えます。肺はのどや鼻の状態と深く関わる臓器で、潤いを好み、乾燥に弱いことが特徴。そのため、空気が乾燥する秋は肺の働きが落ちやすく、コンコンと乾いた咳が出やすくなるのです。

 空咳はそれほど重い症状ではありませんが、長引くと睡眠不足や体力の消耗を招き、全身の不調につながる心配も。悪化すると肺炎や喘息の要因にもなるので、症状が軽いうちにしっかり改善しておきましょう。

 ●秋は「肺」の潤いを養う

 空咳対策の基本は、乾燥しがちな肺の潤いを十分に養い、働きを強くすること。のどや鼻の乾燥、口の乾き、肌の乾燥・かゆみといった症状を感じたら、肺の乾燥が進んでいるサインと考えて早めに対処しましょう。

 体内の潤いを養うためには、適度な水分補給はもちろん、“身体を潤す食材”を積極的に取ることも大切です。また、睡眠不足は乾燥を招く要因になるので、日頃から睡眠をしっかり取ることも心がけましょう。

 食材は、肺を潤し咳を鎮める梨、りんご、白きくらげ、はちみつ、春菊、クコの実、豚肉などがおすすめです。

 ◆ハレの日薬膳レシピ:豚しゃぶと梨ごまソース

 豚肉に梨ごまソースを合わせて肺を潤しましょう

 エネルギー280kcal たんぱく質17.7g 塩分1.6g(1人分)

 <材料・2人分>

 ・豚肉(しゃぶしゃぶ用)…………200g

 ・酒……………………………………大さじ1/2

 ・白きくらげ…………………………2g

 ・わかめ………………………………20g

 ・春菊…………………………………40g

 ・クコの実……………………………4g

 ・梨……………………………………1/4個(50g)

 ・練りごま……………………………大さじ1

 A・すりごま…………………………大さじ1

 A・しょうゆ…………………………大さじ1

 A・米酢………………………………大さじ1/2

 <作り方>

 (1)熱湯に酒を加え、豚肉をほぐしながらサッとゆで、ザルに上げて水気をきる。

 (2)白きくらげは水で戻し、かたい部分を除いてちぎり、10分ほどゆでる。わかめは水に戻し、ざく切りにする。

 (3)春菊は5cm長さに切る。クコの実はぬるま湯で戻す。

 (4)梨をすりおろし、練りごまと混ぜる。さらにAを加えてよく混ぜる。

 (5)(1)(2)(3)を器に盛り、(4)のソースをまわしかける。

 レシピ=宮坂静(東京栄養士薬膳研究会)

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 24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。

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