力士を通して日本の食文化を知る 味の素食の文化センター企画展「相撲と食」開催

2012.01.10 198号 04面

 味の素食の文化センターでは現在、「相撲と食」と題した企画展を開催している。日本人に馴染みの深い相撲と食の関わりの中から、食文化についてさまざまな角度から見る面白さを感じてもらおうと、豊富な取材資料もまじえた展示となっている。

 ●「ちゃんこ」って鍋のことでしょ?

 「ちゃんこ」というと鍋と思われているが、これは力士の作る料理・食べる料理を総称しての呼び方。鍋もカレーライスも揚げ物も刺身も、食事の場に並んだものはすべてが「ちゃんこ」なのだ。

 各相撲部屋で、幕下以下の力士が数人ずつ「ちゃんこ番」を当番制で作る。稽古後と夕刻の2食、低い円卓を囲み、番付上位順に数人ずつで食べていく。食事の世話をするのは番付下位の力士で、1日の摂取総カロリーは約6,000~7,000kcal。16歳から20歳までの、育ち盛りの力士が最も良く食べるとか。身体のできあがった関取衆は、意外に食べる量が減るという。

 ●「こいつは“米びつ”だ!」って、褒められた?

 相撲には食事にまつわる言葉がたくさんある。たとえば「米びつ」は、収入をもたらしてくれる力士、将来有望な力士のこと。「お米」は、供与・給金・小遣い。力士の供与が米で支払われていたことから、そう呼ばれたとされる。「お米が切れる」は、金遣いのきれいな人。「しょっぱい」は相撲が弱いこと、けちくさいこと。「イカを決める」は、勝ち逃げする。イカがスミを吐いて姿をくらますことに由来する。「タコになる」は、思い上がる、天狗になる–など。

 ●展示内容

 (1)「力士と観客の食」…ちゃんこの変遷と、相撲茶屋と名物「焼鳥」の楽しみ方を通じて食の豊かさと奥深さにふれる。

 (2)「清めの塩と力水、塵手水(ちりちょうず)」…塩と水の持つ力について、相撲での使われ方や意味、歴史を解説。

 (3)「祭りと相撲」…祭りに登場する相撲と食の意味について取材資料をまじえて考察。

 (4)「土俵祭と鎮め物」…土俵を築く時には、土俵祭を行い食物を鎮め物として埋める。相撲と地鎮の関係がよく分かる。

 (5)「相撲と食の言葉」…相撲界独特の食に関する隠語をまとめた。

 会期:3月3日(土)まで

 会場:味の素食の文化センター(東京都港区高輪3-13-65 味の素グループ高輪研修センター内)

 http://www.syokubunka.or.jp/

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