百歳さんこんにちは:東京都・菊池浩さん(98歳)
茨城県常陸太田市で生まれた菊池浩さん(98歳)。「私が生まれた太田町西3丁目は、花柳界で賑わった町。料理屋、待合、芸者屋が軒を並べ、三味線や太鼓の音が絶えることがなく、その音を子守唄のように聞いて、夜の眠りに入りました」と幼い頃の“原風景”を語る。
◆新内流しに憧れた青年時代
こうした雰囲気の中で育った浩さんは、新内流しに興味を持つように。「東京へ出て英語を勉強しながら、夜は銀座の街に出ていた夜店を“銀ブラ”しながら、新内流しのレコードを買いあさりました」と語るほど、三味線の魅力に取りつかれた。
◆学習院の英語教師を長年務める
尋常小学校では6年間、勉強はずっと1番だったという浩さん。中学卒業後は東京外国語大学英文科で学び、卒業後は広島県尾道市の中学教師として5年、その後、千葉県佐原市の中学で2年間の勤務を経て、学習院の英語教師となった。
「学習院は宮内省所轄の官立学校として設置されたので、学習院の教師時代の教え子には宮家の方も何人かいらっしゃいました。本来、“石部金吉”のような私が三味線に惹かれ、新内流しを夢見たなんて、不思議な話かもしれません」と笑いながら語る。
「大学時代、先生には目をかけてもらいました。そんな縁で学習院の教師に就くことができたのかもしれません。また、兵役を免れることができたのも、海軍大将が学習院の院長だったという縁があったからかもしれません」と述懐する。
定年の60歳まで社宅で暮らし、その後は東京・練馬区に移り住んだ。86歳で独り身になり、一念発起して本格的に三味線の稽古を開始。新内流しの妙音を爪弾き楽しんできたが、「江戸の新内流しになるという夢は実現できませんでした」と、ちょっぴり残念そうだ。
◆早寝早起き、3食しっかり
現在も独り住まいだが、「健康なのは毎日、早寝早起きし、3食しっかり食べているから」。
近くに住む長女(60歳)が週に2~3回、食事の世話に来てくれていることも健康維持につながっているようだ。
好きな言葉は「誠」と、淀みなく言い切った。
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