百歳さんこんにちは:神奈川県・斎藤武久さん(98歳)

2014.08.01 229号 06面
茅ヶ崎市からの感謝状を手に

茅ヶ崎市からの感謝状を手に

 90歳で始めた木工細工で『ぐりとぐら』など絵本の世界を再現している、茅ヶ崎市在住の斎藤武久さん。先頃、市立図書館で開かれた作品展は評判を呼び、「読書活動へのきっかけなど社会教育に多大な貢献をした」として市から感謝状も贈られた。

 ●妻亡き後、娘に勧められ

 名古屋市で長年、鉄工所を営んできた武久さん。77歳で引退し、茅ヶ崎市で暮らす一人娘・民子さん夫妻のもとへ。

 木工細工を始めたきっかけは愛妻の死。心の張りを失った武久さんを心配して、民子さんが勧めた。「熊の置物を作ってみたら、面白かった」。昔話などを題材に作品づくりを始めた。

 ところが、孫娘からは「古い」と厳しい指摘が。それならばと絵本の世界に挑戦したものの「こりゃ難しいと思った」。孫の「何言ってるの、おじいちゃん!」という叱咤激励に支えられ(?)ながら、めきめき腕を上げた。何度も失敗を重ねて作品が完成した時は、喜びもひとしおだという。

 96歳の時、家族が展覧会を企画。地元の文化会館で催したところ、タウンニュースで取り上げられ話題に。これまでに新聞や雑誌、テレビなど多くのメディアに登場している。

 ●小学生が一言、「魔法の手だね」

 武久さんの作品は、絵本の1シーンをリアルに再現しているのが特徴。すでに芸術作品の域に達している。焼きたてのパンは、香ばしい匂いが漂ってきそうなほど。展覧会の時、来場した小学生に「おじいちゃんの手は魔法の手だね」と言われた。「あの言葉は、100人に褒められるより嬉しかったね」。

 鉄工所で航空機や自動車の部品を作ってきた武久さんも、木工細工に当初は苦戦した。「木の目に逆らってはダメだし、木材のかたさを見極めるのは難しい」と言う。

 材料は庭から、あるいは近所を散歩しながら収集する。「最近は近所の人などが提供してくれることもあって、そういう時は『お宅の木で作りました』と作品をプレゼントしています」。

 98歳になった今も病気知らず。「歯医者にかかるくらい。木工細工を始めてから、ますます元気になったよ」と笑う。毎日、500回の踏み台昇降を欠かさず、杖もつかない。「朝、目が覚めて、今日は何をしようかなと考える時間が楽しい」という前向きな生活を送っている。

 ●百歳になったら、大作に挑戦したい

 食べ物の好き嫌いはない。民子さんの手料理がおいしいこともあるが、そもそも料理を出されて「まずいと思ったことがない」。朝食はみそ汁を欠かさず、定番は納豆。「朝食後、部屋や庭を掃除して、足踏み運動をしている間にお湯を沸かします。自分で入れる煎茶が何よりおいしいね」と語る。天気が良ければその後、庭で3時間ほど作品づくりに没頭する。

 戦時中は召集され満州に。「私はノモンハン(旧日本軍と旧ソビエト連邦による大規模な戦闘があった場所)の生き残り。運が良かったんです」と武久さん。長生きの秘訣は、「身体を動かすことと、笑みを絶やさないことかな。感謝の気持ちを持っていないと、いい作品は作れません」。

 100歳になったら、記念に大作を作るつもりだ。「何を作るのかって?それは誰にも言っていないので内緒です」と、茶目っ気たっぷりに話してくれた。

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