ヘルシートーク:管理栄養士・料理研究家 関口絢子さん

2024.06.01 347号 05面

『管理栄養士が教える!世界一カンタンな長生きレシピ』 関口絢子著/宝島社 定価:1485円(税込)

『管理栄養士が教える!世界一カンタンな長生きレシピ』 関口絢子著/宝島社 定価:1485円(税込)

本の中身ちょっと拝見:キャベツを丸ごと一玉使う「万能蒸しキャベツ」

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本の中身ちょっと拝見:「酢にんじん」は冷蔵庫で2週間保存可能

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本の中身ちょっと拝見:これからの季節に最適な「なすのねぎポン漬け」

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 ◇日々の食事に取り入れてほしい 老化を防ぐ「長生きレシピ」

 管理栄養士・料理研究家として活動し、YouTubeチャンネル「ウェルネスキッチン」も人気の関口絢子さん。関口さんが考案しているのは、免疫力向上や腸内環境改善、アンチエイジングなども期待できる「長生きレシピ」。そのメソッドや栄養を逃さず取るコツ、簡単レシピも伺いました。

 ●老化の3大要因は糖化、慢性炎症、酸化

 長生きを妨げる老化の原因は、大きく3つに分けられます。1つは血糖値が急上昇することで起こる「糖化」。血液中で糖が高い状態になると、糖分とたんぱく質が結びつき、糖化の原因物質がつくられ、やがてAGEs(最終糖化産物)となります。AGEsが増えるほど老化を促進させてしまうのです。

 2つ目は「慢性炎症」。そもそも炎症は、身体を守るための防衛反応。でも、食事や生活の乱れなど身体に負担のかかる状態が続いてしまうと細胞を酷使させ、炎症が慢性化してしまい、さまざまな疾病につながってしまいます。例えば肥満は、細胞を肥大させ炎症を助長させます。そのため、適切なカロリーを摂取して炎症を防ぐことが重要になってきます。

 そして、活性酸素が過剰に発生することで起こる「酸化」も疲労や不調を招く要因に。私が考案する「長生きレシピ」は、この3つを軸にアプローチしているので、さまざまな健康効果が期待でき、長生きにつながるのです。

 「健康、主役、決まり!」–これは、毎日の食事に取り入れてほしい食品群のキーワード。けん(玄米・未精製食品)、こ(根菜)、う(海のもの)、しゅ(種子油類)、やく(生薬・スパイス)、き(菌類)、ま(豆類・白肉)、り(りんごなどの果物・野菜)といった食品を意識しながら買い物に行くよう習慣づけると、健康な身体につながる食事がつくりやすくなると思います。また、ごはんと一緒に、和食、洋食、中華などのおかずをジャンルを問わず組み合わせると、バランスの良い献立への近道に。

 長生きをするためには、規則正しい生活も欠かせません。1日3食、決まった時間に食べるよう心がけましょう。

 ●ごぼうやれんこんは水にさらさず、そのまま使用

 「糖質制限」という言葉が流行っていることもあり、糖質を悪者のように思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、未精製食品や根菜に含まれる質のよい糖質は、長生きをするためには重要です。とくに根菜は糖質と食物繊維を一緒に取ることができるため、血糖値の急上昇を防ぎ、身体にやさしいエネルギー源になります。

 調理の工程で当たり前のように行っていることが、実は食材の栄養素を逃している場合があります。例えば、ごぼうやれんこんは、アクを取ったり変色を防ぐために切ったら水にさらしますよね。でも、野菜には水溶性の栄養素が多く含まれているので、水にさらすだけで、ビタミンなどの栄養素が溶け出してしまいます。野菜本来の栄養素をしっかり取るためには水にさらさず、そのまま使ってほしいと思います。

 さつまいもやにんじんの皮には食物繊維が多く含まれています。食物繊維には解毒作用があり、健康な身体をつくるための大切な栄養素ですので、よく洗って皮ごと調理することをおすすめします。

 ピーマンの種やワタを捨てていませんか? 種やワタには血流を促進したり、精神を安定させる働きがあるピラジンなどの成分が含まれています。ヘタのみを取って丸ごと使うと、栄養素を余すところなく摂取できます。生ごみも減るので一石二鳥。苦みも意外と気にならないものですよ。

 野菜に含まれている脂溶性の栄養素は油と一緒に取ることで身体に吸収されやすくなります。とくに緑黄色野菜は油で炒めて食べるとよいでしょう。

 ●アレンジや保存もしやすい「万能蒸しキャベツ」

 キャベツを一玉買っても、使い切れない…という声が多かったことから考案したレシピが「万能蒸しキャベツ」です。フライパンにキャベツと水を入れて1分蒸した後、オリーブオイル・塩を加えて好みのかたさに蒸し上げるだけという手軽さ。YouTubeで紹介した中でも、とくに反響が大きかったですね。

 蒸すことでキャベツの甘みが増し、ゆでるよりもビタミンやミネラル、食物繊維などの損失が少ないため、調理法としても理に適っています。残った水分はスープに活用できますし、かつおぶしやポン酢、ごまを加えたり、コールスローや回鍋肉などにアレンジもしやすいんです。冷凍保存もできるので、炒め物やスープなどにすぐに使える大きさにカットして冷凍しておくと便利ですよ。キャベツはアブラナ科の野菜で、体内の解毒を助けるイソチオシアネートが含まれているため、積極的に取っていただきたい野菜の一つですね。

 これからの季節は食中毒を防ぐためにも、酢を使ったレシピがオススメです。中でも「酢にんじん」は、にんじんを細かく切って、酢・塩・はちみつと混ぜて寝かせるだけなので簡単につくれます。にんじんにはβ-カロテンが豊富に含まれているため、老眼や白内障の予防が期待できます。冷蔵庫で2週間保存できるので、毎日食べていただくと、内臓脂肪燃焼や血糖値の上昇をゆるやかにする働きにもつながるでしょう。

 夏野菜のなすを使った「なすのねぎポン漬け」も、ぜひ試してほしいレシピです。火を使わず、作り置きできるので、とても重宝する副菜です。なすの皮や種の付近には抗酸化物質が多いため、水にさらさずに皮ごと使うと活性酸素の除去が期待でき、疲労回復にも役立つと思います。

 ●プロフィル

 せきぐち・あやこ 管理栄養士、料理研究家。テレビや雑誌などのメディアを中心に、健康・美容・ダイエットに関するレシピや栄養情報を提供。YouTubeチャンネル「管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン」は登録者数54万人超(2024年4月現在)。著書に『春夏秋冬 疲れ取りごはん』(KADOKAWA)など。米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー、日本抗加齢医学会認定抗加齢指導士。

 ◇NEW Book 本の中身ちょっと拝見

 『管理栄養士が教える! 世界一カンタンな長生きレシピ』 関口絢子著/宝島社

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