明治HD、食品と医薬品のシナジー創出 「予防革命」で健康寿命延伸
明治ホールディングスの川村和夫社長は、このほど本紙単独取材に応じ、消費者の健康に対するニーズの高まりを指摘した上で、近年の消費者の商品選択の傾向を「商品選択基準の上位は健康であり、健康という軸の中で商品が選択され、健康情報がない商品は、魅力がないと判断される」と分析。
さらに、食品と医薬品を持つ国内有数の企業の社長として、食品と医薬品のシナジーの創出が自らの責務と語り、「デジタル革命」に続く、社会的な変革は「予防革命」とし、健康寿命の延伸に資する研究を強化する考えを示した。
川村社長は、明治の成長をけん引した「R-1」「LG21」「PA-3」などのプロバイオティクスヨーグルトや「チョコレート効果」など高カカオチョコレートの大幅な拡大は「健康という情報の価値によるもので、当社のメッセージは、確実に消費者に届いている」との認識を示した。さらに、明治独自のオリゴ糖である、フラクトオリゴ糖の研究から生まれ今年発売した「オリゴスマート」は健康志向チョコで「チョコレート効果」に次ぐ2本目の柱に成長させていきたいと述べた。
さらに、川村社長は明治グループの強みを、食品と医薬品が連合した企業グループであることと語り、食品と医薬品のシナジーの早期創出を喫緊の課題とした。「医薬品の領域は変化し、治療だけではなく、予防の領域が拡大している」と現状を分析し、「予防領域は、医療産業に加え、食品産業にとっても重要な領域であり、ここにビジネス機会を創出することが重要」と指摘。すでに、新たな研究所として「価値共創センター」を今年4月に、東京都八王子市内の明治イノベーションセンター内に設立。
食品事業と医薬品事業を持つグループの強みを生かし相互事業分野の研究を融合、発展させ外部の知見を取り入れながら、独自の価値創造を目指している。同研究所は、「明治グループ2026ビジョン」の重点方針で掲げた「健康価値領域での新たな挑戦」の一環として設立。「老化」「食事療法」「マイクロバイオーム(腸内細菌叢)」などを研究テーマとしている。
こうした取組みを強化することで今後、「予防革命」を起こし、健康寿命延伸に貢献し、社会保障費の削減という国家の課題解決にもつなげる。(青柳英明)