ビスケット業界、原材料高騰など収益圧迫 値上げが今後の課題

菓子 ニュース 2021.12.03 12332号 01面

 ビスケット市場が好調だ。食品需給センター公表の生産数量によると、1~9月の累計では2.7%増となり、コロナ禍に伴う需要増の反動減への懸念を払拭(ふっしょく)した格好だ。コロナ禍の影響で生活者が冒険を避け、購買経験のある商品を選択する傾向が高まり、ロングセラーブランド強化の流れが顕著となっている中、既存ブランドを活用した不二家の「カントリーマアムチョコまみれ」がビスケットカテゴリーで、久々の記録的ヒットを達成するなど明るい話題も多いが、業界関係者に笑顔は少ない。ビスケットの主要原料である小麦粉、砂糖、油脂の値上げが相次いでいる。さらに、包装資材、物流費の上昇が収益を圧迫する。原材料価格が高騰し、食品メーカーの値上げが続いているが、食品の中で嗜好(しこう)性が高い、流通菓子業界は値上げには慎重であり、現時点で「棒上げ」を発表しているのはスナック菓子メーカーにとどまる。

 菓子業界の中でも、特に「値上げにためらい」を見せるのが、ビスケット業界だ。業界が値上げに逡巡(しゅんじゅん)するのはいくつかの要因がある。一つは、2008年に大手総合菓子メーカーがビスケットの定番商品の値上げを実施したが、一部大手小売業の猛反発を受け店舗から商品が撤去されるという事態を招いたことだ。関係者は「古い話だが当時の衝撃は大きく、業界に棒上げができないという認識が広まった」と語る。

 二つ目は、スナック菓子や隣接カテゴリーのパンのように、圧倒的な市場シェアを持つメーカーが存在しないことにある。「そのメーカーがいなければ売場が構成できない」と「売場商品の差し替え可能」には大きな隔たりがある。

 「棒上げができない」中、次善の策としてこれまでもメーカーでは、品質改良・パッケージ変更などリニューアル時に、価格は据え置き内容量を減量する「減量値上げ」で臨んできた。ただ、近年では「ステルス値上げ」と消費者の反発を受けることも多くなった。

 21年のビスケット市場の好調も、よく見ると店頭売価は下がりつつあり、前年の需要増の反動を抑えるため、価格対応を取りながらマーケットを維持している面もある。長期的な原材料価格の高騰が、21年に入りさらに深刻化する中、メーカーからは「ただでさえ少ない利益がさらに減少しており、このままではもたない」との声も聞かれる。最近では「値上げ=悪」との認識も薄れつつある。21年は値上げを見送らざるを得なかったビスケット業界だが、22年は値上げに踏み切れるかが課題となりそうだ。=関連記事7~9面(青柳英明)