IBMとMITの次世代AI、食品廃棄削減を志向 タンパク質の開発へ応用

左からデビッド・コックス氏、ダリオ・ギル氏、アントニオ・トラルバ氏

左からデビッド・コックス氏、ダリオ・ギル氏、アントニオ・トラルバ氏

IBMと米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の産学連携による世界最先端の開発拠点「MIT-IBMワトソンAIラボ」(共同代表=アントニオ・トラルバMITディレクター、デビッド・コックスIBMディレクター)が共同研究を進めている次世代の人工知能(AI)の応用で、今後、食品業界に影響を及ぼす可能性のあるものは、食品廃棄を減らす安全性の高いタンパク質の開発であることを、デビッド・コックス氏らが日本食糧新聞の質問に答えて明らかにした。食品の腐敗や酸化を抑制できる新しい分子の開発にAIを応用するという。

デビッド・コックス氏は、アントニオ・トラルバ氏、IBMリサーチのダリオ・ギルディレクターとともに日本アイ・ビー・エムが16日に本社事務所で開いた記者説明会で同ラボでの最新の研究内容の一端を披露した。その説明会で質疑に応じたもの。

ダリオ・ギル氏、デビッド・コックス氏、アントニオ・トラルバ氏らの説明によると、同ラボでは、両者の100人超の研究員が産業への応用研究に特化した49のAIアルゴリズム開発で共同研究しているという。IBMは同共同研究に対して17年から10年にわたり2億4000万ドルを投資することにしており、同投資の産業応用研究への配分は、180の提案の中からIBMとMITが協議して49の産業応用研究を選んで決めたとした。食品の腐敗や酸化を抑制できる新しい分子の開発も開発中のAIアルゴリズムの49の産業応用研究の中の一つ。

現在、実用されているAIは、深層学習のために多くのデータを必要とする狭義のAI。ダリオ・ギル氏によると、同ラボで共同研究しているAIアルゴリズムは、少ないデータでも深層学習ができ、ニューロシンボリックシステムに支えられた次世代の広義のAI。導き出した答えについて説明できる点で信頼性が高いのが特徴だ。その先に汎用(はんよう)AIがある。

同ラボでは、広義のAIの開発には10年を要し、その先の汎用AIは2050年以降に登場することになると見込んでいる。

IBMは、AIの潜在能力を引き出す科学的ブレークスルーの促進を目指して、17年にMITと連携して米国マサチューセッツ州ケンブリッジに同ラボを設立した。(川崎博之)