うま味調味料「味の素」が10年ぶりに売上げ増 減塩利用に手応え

調味料 ニュース 2019.11.08 11968号 01面

うま味調味料「味の素」が19年度上期(19年4~9月)、売上高、販売数量ともに前年同期を上回った。09年度下期以来約10年ぶり。味の素社の西井孝明社長が7日の上期決算会見で明らかにした。減塩での利用に手応えを感じているという。=関連記事2面(川崎博之)

西井氏は、「各地では、だしを使った減塩をかなり力強く推進している。その結果もあろうかと思うが、今年上半期の商品『味の素』の売上げが何年ぶりか分からないくらい久しぶりに前年を上回って106%くらい成長した。非常に手応えを感じている」とした。

うま味調味料の市場規模は19年度(19年4月~20年3月)に52億円、前年比3.7%減が予想されている。この中で味の素社の「味の素」と「ハイミー」を合わせた市場占有率は上期に91%、前年同期の90%を1ポイント上回った。

味の素社では、うま味調味料「味の素」の減塩食での活用を全国の催し物などを通じて生活者に提案している。うま味調味料(MSG=グルタミン酸ナトリウム)の食材の下味付け、料理の仕上げ、だしの補完、味の安定、外食・給食での経費と手間の節約、減塩食をおいしくする効果はすでに確認済み。また、栄養士のMSGに対する正しい理解の進展次第では病院食への活用などさらに用途が広がる可能性がある。

4月18日の味の素メディア懇談会で講演したうま味インフォメーションセンターの二宮くみ子理事によると、ビーフコンソメへのMSGの添加効果として、香りにはほとんど影響を与えず、持続性、こく、広がり、まろやかさ、濃厚感などを満たし、食塩濃度が低いときにMSG添加で風味増強がより明確になる研究結果もあるという。また、米国栄養士会発行の学術誌に掲載された疫学調査の結果、汁物摂取頻度が高い人はBMI(体格指数)が低い傾向があることが分かり、同様の結果はフランスなどでの調査でも確認されているという。

一方で、栄養士の中にすら、依然として食品添加物への誤解があるのも事実。この誤解が活用の広がりを阻む最大の壁となっている。この誤解は「無添加」「無化調(化学調味料無添加)」という表示が食品表示制度で長年規制されていないため、「無添加」が安全・健康に良い、「無化調(化学調味料無添加)」がグルタミン酸や核酸が製品に含まれていないという間違ったメッセージを与え続けていることに由来している。

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