チリ産ワイン減速止まらずフランス産が首位へ 日欧EPA効果

11月27日オープンの東急ストアフードステーションミニ二子玉川駅構内店では、オーガニックワインのコーナーを展開する

11月27日オープンの東急ストアフードステーションミニ二子玉川駅構内店では、オーガニックワインのコーナーを展開する

フランス産ワインの輸入量が今年、首位のチリ産を上回る可能性が出てきた。フランス産のボトルワイン(スパークリングを除く)の輸入が今年に入り急増。2月に発効した日欧経済連携協定(EPA)で欧州産の関税が撤廃されたためだ。市場をけん引してきたチリ産の減速が止まらず、国内ワイン市場全体で見ると年間では前年割れで着地する見通し。2020年はチリ産へのテコ入れが進みそうだ。

チリ産の減少分を補い切れず

小売店のワイン売場では欧州産の棚割を拡大した半面、チリなどのニューワールドワインの棚を縮める傾向が見られた。欧州産は拡大したもののチリ産の減少分を補い切れていない構図が続いている。

すでに秋冬の棚割でチリ産復調の兆しが出てきたと見るインポーターもある。2020年は棚割の見直しが進み、チリ産の取り扱いを以前の水準近くに戻す小売店が増えそう。

11月27日オープンの東急ストアフードステーションミニ二子玉川駅構内店では、オーガニックワインのコーナーを展開する

国内ワイン市場の約7割は輸入が占める。このうち、輸入スティルワインの約3割を占めるチリ産の落ち込みが目立っている。チリ産の低価格品の販売構成比が高い企業ほど日欧EPAのマイナス影響が大きかったと見られる。

今年は関税が撤廃された欧州産の需要が高まったが、価格面での提案に終始し、消費者にワイン本来の価値である産地や品種、物語性といった多様さや魅力を伝え切れなかったと指摘する関係者が多い。価格競争から脱却しワイン本来の価値を打ち出したいのは各社共通の考えだ。

今後は増加基調が続くスパークリングワインや需要が高まりつつあるオーガニックワインを切り口とした提案が増えそう。オーガニックワインはまだ小さい市場だが有望なカテゴリーとして捉えられ、ラインアップを拡充したり料飲店向けの提案を強化したりして積極的に取り組む企業が増えている。

日米貿易協定で米ワインの話題喚起へ

2020年1月にも発効するとされる日米貿易協定では、日本が米国から輸入するワインの関税がTPPと同水準で引き下げられ、2025年に撤廃される方針だ。日本国内では米国産の話題が喚起され需要増につながりそう。

過去にはチリやオーストラリアのワインが同様に関税の引き下げで恩恵を受けた。市場活性化のチャンスと捉え、積極的に売り込もうと準備を進める企業も見られる。ただ、米国産は比較的高単価であることに加え、今回は日欧EPAのように発効時に即時撤廃されないため、市場への影響力が小幅にとどまる恐れもある。

また、財務省の統計によると、ボトルワインの1~9月の輸入量はフランスからが3267万リットルと前年より14.8%増えた。チリからは11.2%少ない3574万リットルで、首位の交代が迫っている。実現すれば2015年以来、4年ぶりとなる。

10月の消費増税に伴うワインの駆け込み需要は、国内製造ワインの大容量品を中心にあったもよう。駆け込み需要の規模は想定よりも小さく、11月に入り反動は収束したとの見方が強い。

ワイン総市場は1~10月までで約2%減で推移したもよう。年間では1~2%程度前年を下回って着地しそうだ。

国内ワイン市場は2015年をピークに踊り場を迎えている。チリ産の1本500円前後の低価格品が消費をけん引していたが、近年はワイン飲用者が缶チューハイなどのRTD(レディー・トゥ・ドリンク)に流出する動きに歯止めがかからない状況だ。

2月に日欧EPAが発効したことで欧州産の関税が撤廃された。インポーター各社は一部欧州産の価格改定を実施し、欧州産の店頭価格が引き下がった。だが、EPAによる消費拡大効果は限定的で、想定を下回ったと指摘する関係者が多い。

※日本食糧新聞の2019年12月6日号の「ワイン特集」から一部抜粋しました。

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