コロナ、新米に影響 主食用減少、加工用など増加 農水省「20年産米作付意向」

コメ産地で、今秋に取れる新米の作付けに、新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始めた。農林水産省が取りまとめた4月末現在の各都道府県20年産米作付意向(5月27日公表)では、主食用米で前年並みが35県、減少12県で、全体として前年並みが見込まれる。だが、前回調査(2月末時点)と比べると、業務用のウエートが大きい産地中心に、「前年並み」から「減少」に変える傾向が見られる。

前回調査と比較すると、減少が6県から12県に増えた半面、前年並みが41県から35県に減少。インバウンド需要や外食産業での使用量が大幅に減少する中、業務用米の多い青森県や福島県、千葉県や九州中心に「前年並み」から「減少」に変更した。

一方、国が需給調整として、主食用米からの転換を進める戦略作物に関しては、米菓や上新粉などに使う「加工用米」で増加18県、前年並み9県、減少17県。小麦粉代替に使う「米粉用米」に関しては、増加21県、前年並み9県、減少16県となり、この二つのコメに関して、業界で不足懸念が高まっていることがうかがえる。現に、栃木県や埼玉県など地元に大手企業のある県の間で、作付けを増やす傾向が見られた。

ただし、米菓や米粉最大手を有する新潟県に関して、加工用米も米粉用米も「減少」となった。要因として、従来の「コシヒカリ」から「つきあかり」や「あきだわら」など業務用米への転換が進んだことが考えられ、旺盛な主食用米作付意欲がうかがえる。

ここへきて過剰感が出てきた「飼料用米」に関しては、増加が10県、前年並み15県、減少20県となり、減少傾向にある。

一方、注目の輸出用米に代表される「新市場開拓用米」に関しては、増加18県、前年並み9県、減少9県と、作付意欲は旺盛だ。(佐藤路登世)

解説:主食用さらに減少の公算大

18年産米から生産調整が廃止されたが、主食用米からの転換を図ることを条件に、国が一定の助成を行う戦略作物制度は残っている。現時点ですでに田植えは終えているものの、農家が主食用米もしくは戦略作物のうちいずれかのコメへ振り分けるのは、6月末だ。そこで、業務用の減少が顕著となる中、最終的に主食用米作付面積は「もっと減少する可能性が高い」という声が業界内から聞こえる。

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