ビーフン特集

◆ビーフン特集:家庭用中心に大幅拡大 巣ごもり需要後押し

農産加工 2020.08.07 12093号 12面

ギネス世界記録認定証、焼ビーフンが認定

ギネス世界記録認定証、焼ビーフンが認定

 「8月18日はビーフンの日」–。最大手ケンミン食品が、普及を願い制定したこの日を盛り上げる販促企画を毎年実施している。ただ今年は、新型コロナウイルス感染拡大第2波が押し寄せる可能性が高まる中、例年の大規模イベントは控え、地域密着でしかも外食産業支援型企画にかじを切り替える。具体的には、同社の地元・神戸市内の対象外食店で、ビーフンメニューを注文した顧客に「ケンミン焼ビーフン」をプレゼント。店舗情報は、同社ホームページ特設ページで公開中だ。同社は、ビーフンの伝来の地といわれる神戸で、焼ビーフン世界最長寿としてギネス世界記録に制定された企業。それだけに神戸の地元活性化への貢献が、このキャンペーンの最大の目的だ。併せて、コロナ禍の大打撃を受ける外食産業を応援したい思いもある。

 一方昨今のビーフン市場は、家庭用中心に大いに盛り上がりを見せている。コロナ禍での巣ごもり需要拡大が要因だが、コメが主原料でしかも野菜との好相性という健康性が、免疫力向上やコロナ太り解消を願う消費者心理に響いている。併せてケンミン食品は今年創業70年、焼ビーフン発売60周年の記念の年を迎え、ビーフンのさらなる普及を目指した積極的な取組みを多数実施。この効果も現れていることは間違いない。(佐藤路登世)

 ビーフン市場は近年、順調に拡大しているが、昨年は踊り場となった。人気TV番組で、最大手ケンミン食品の主力商品「ケンミン焼ビーフン(焼ビーフン)」が取り上げられ大きく伸長した17、18年の反動だが、一転今年に入り、旺盛な家庭用需要に支えられ順調に推移している。

 市場の目安となるのが財務省貿易統計で、「コメを主原料にした麺の総輸入量」が19年は7568tと前年を割り込んだ。この数字の減少は6年ぶりだが、今1~4月は前年比6.3%増の2437tと持ち直してきている。

 要因の一つとして、ケンミン食品は今期創業70周年、焼ビーフン発売60周年を迎えるに当たり、多様な市場拡大策に乗り出したことがある。コメのめん・ビーフンの新たな価値創造を目指し、素材系商品(乾めん)で「お米のめん」シリーズを立ち上げる一方、「焼ビーフン」シリーズでは期待の「幻のカレー味」を投入。海外戦略では年初、グルテンフリーの切り口で海外専用品の米国向け本格輸出を開始した。

 加えて、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛期間中、「焼ビーフン」をはじめとする家庭用商品が大幅拡大したこともある。背景に旺盛な巣ごもり需要があるが、この時期、食物アレルギーのある幼い子どもへの商品プレゼントなど同社ならではの社会貢献活動が話題を呼んだことも後押しした。

 その結果、3~5月は「焼ビーフン」が前年比40%増、続く「お米100%ビーフン」が同20%増、「冷凍焼ビーフン」シリーズを中心とした冷凍事業は、ネット販売の好調を受け同20%(冷凍事業・3月)も拡大した。

 コロナ禍での巣ごもり需要が要因だが、加えてこの間、社会貢献活動として、一流料理人のレシピを日替わりで紹介する「おうちごはん支援」や、小麦が食べられない子どもたちに「お米のめん」シリーズをプレゼントする「食物アレルギー支援」、スポンサー活動を続けているヴィッセル神戸と共同で、全選手写真入りパッケージ商品売上高140万円を、こうべ医療者応援ファンドに寄付する「医療従事者支援」などを行った。

 特におうちごはん支援では「シェフがつくるビーフンのまかないレシピ」の公開により、4月の公式ホームページアクセス数が約前年比4.5倍と急上昇。この間、顧客と接する機会が減ったシェフたちからも感謝の声が寄せられた。また、「焼ビーフン」がギネス世界記録に認定された5月もアクセス数が同約6倍伸長したことも併せ、ステイホーム期間中一貫してレシピページのアクセス数が多かったことも、需要増の引き金となったようだ。

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