食品値上げが拡大 主原料高騰の影響大きく すべてのカテゴリーに下期波及か

総合 ニュース 2021.06.30 12253号 01面

 食品値上げの動きが広がってきた。今春に食用油や小麦粉、大豆などの主原料系で始まった価格改定は関連カテゴリーへ波及し、29日現在、本紙調べで約14業種が値上げを表明。主原料の高騰は今後もあらゆる食品に影響を及ぼすとみられ、すでに菓子業界でも流通向けに値上げの案内が始まった様子だ。昨今の内食需要の高止まりを背景に値上げが消費へ及ぼす影響は限定的との見方もあるが、所得環境の厳しさから買い控えを促進させる可能性もある。製配販の連携強化で需要の維持と適正な利益確保へ取組みを模索すべき局面だ。(篠田博一)

 前回19年時の一斉値上げは国内の人手不足による物流費・人件費の上昇が主要因だったが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う環境変化が大きく影響。中国や欧米の需要回復で穀物原料がひっ迫しているほか、経済回復に伴う世界的なコンテナ不足で運賃が上昇、生産停滞による不作など、複合的な要因が絡み合ってコスト高騰を招いている。

 今回の価格改定のもう一つの特徴は「大豆や小麦に代表される輸入作物の高騰で粉・糖・油など加工食品主原料が値上げとなり、その影響が広範囲に及びそうなこと」(大手卸)という。

 食用油市場は8月に向けて今年3回目の値上げに踏み切るほか、マヨネーズでは7月にキユーピー、味の素社が価格改定を実施。9月以降はパスタやそばなど粉関連製品の値上げも控える。菓子も一部大手メーカーが卸向けに値上げのアナウンスに動いているとし、競合他社も一斉に追随する公算が高い。まだ値上げを表明していない即席麺やカレー、ドレッシング、アイスクリームなども価格改定を行う可能性もあり、「下期に向けて全ての食品カテゴリーで値上げや値締め、容量減などの動きが出てくるのでは」(同)と見通しを語る。

 懸念されるのが、消費へ値上げが及ぼす影響だ。22日、SM3団体が公表した既存店の5月食品売上げは前年比2.8%減と落ち込んだが、これは前年同月が11%増と大幅に伸びた反動。外出自粛や飲食店休業の影響などで内食需要は依然堅調を保ち、3~5月のSM売上げは19年実績を上回る推移だ。

 このため「巣ごもり消費が定着する中で特売頻度も下がっており、今回の値上げが市場に与える影響は限定的では」(他の大手卸)との見方もある一方、昨今の所得減少と値上げが家計を直撃し、消費や景気回復の足枷(かせ)になると懸念する声も強い。

 そうした中で不毛な価格競争にならないよう、3層の努力でコスト上昇分を適正に価格転嫁するスタンスが求められる。大手卸の中には値上げが続く食用油のMDとして、低コレステロールやアマニ油、エゴマ油など健康に配慮した付加価値商品の提案に注力するなど価格のみに頼らない販売を模索していく。

最大30日間無料購読する

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら