食品産業文化振興会、MUMSS・黒田一賢氏が講演 ESG取組みに優先順位付け
日本食糧新聞社が主催する食品産業文化振興会は2月14日、講師に三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)インベストメントリサーチ部シニアESGストラテジスト・黒田一賢氏を迎えて「今からでも遅くないESG基礎講座」をテーマに東京・八丁堀の食情報館で開催した。
コロナ禍で会合が制限される中、三密を考慮した講演・受講およびWeb受講を開催した。
黒田氏は「ESGとは横文字がネックとなり理解されにくいが、『企業は取り巻く人々に支えられているので配慮しましょう』ということで、古くは江戸時代の商家の家訓として同様の概念を取り入れ、終身雇用制度を前提としたさまざまな福利厚生を提供してきたが、これもESGの取組みの一端だ」とし、「元来日本人の倫理観に沿う概念だ」と強調した。
黒田氏は「ESGとは幅広いため全部やることは不可能なので、優先順位を付けて始めることが望ましい」とした上で、「優先順位の高い物から手を付け、『投資家からそれよりも重要なことがあるのでは』と指摘されても『当社にとって最優先課題から取り組んでいます』と自信を持って応えられるような課題解決が重要だ」とした。
シングルマテリアリティ観点の業種別重要ESGテーマランキングのうち、食品関係が(1)よりよい製品とサービスの革新(2)健康と幸福(3)ステークホルダー・エンゲージメント(4)気候変動(5)尊厳と平等(6)固形廃棄物(7)人材開発(8)自然の損失(9)資源の利用可能性(10)倫理的行動(11)淡水の可能性(12)リスク機会の監督(13)コミュニティーと社会的活力(14)取締役会の質(15)雇用と富の生成(16)水質汚濁(17)統治目的(18)大気汚染–とした。(宇津木宏昌)