業務用・外食/機械資材素材/地域貢献3賞合同表彰式 意欲的な挑戦に拍手
◇「第25回業務用加工食品ヒット賞/外食産業貢献賞」「第24回日食優秀食品機械・資材・素材賞」「第9回地域食品産業貢献賞」
●新技術・価値創造力を評価
日本食糧新聞社主催の「第25回業務用加工食品ヒット賞/外食産業貢献賞」(農林水産省後援)ならびに、「第24回日食優秀食品機械・資材・素材賞」「第9回地域食品産業貢献賞」の3賞合同表彰式が16日、東京・新橋の第一ホテル東京で開催された。企業の意欲的な挑戦や成長分野を支える新技術、価値創造の取組みなどに大きな拍手が送られた。式典では業務用加工食品ヒット賞/外食産業貢献賞の小田英三選考委員長、機械・資材・素材賞の石谷孝佑選考委員長がそれぞれ選考経過を報告。受賞企業の代表者に表彰状が授与され、平和食品工業の森村荘太郎社長(業務用加工食品ヒット賞)、西村機械製作所の西村元樹社長(機械・資材・素材賞)、名糖産業の三矢益夫社長(地域食品産業貢献賞)が代表謝辞を述べた。会場は新型コロナウイルス感染症予防の観点から完全入れ替えの2部制とし、参加者はマスク着用でソーシャルディスタンスを保ちながら交流を図った。(江端哲也、金原基道、佐藤路登世、高木義徳、藤田順也、涌井実)
◆第25回業務用加工食品ヒット賞/外食産業貢献賞
◇選考経過
●小田英三選考委員長(日本外食品流通協会会長) DX時代への確かな足取り
7月8日、日本食糧新聞社本社「食情報館」で選考委員会を開催した。業務用加工食品ヒット賞は、全国有力業務用卸75社のモニターアンケート結果で403品の推薦があった。コロナ禍で外食産業は大打撃を受けているため、通年の半分以下の推薦数だった。その中から票数の多い商品を中心に、商品力・開発力、そして業務用食品卸の販売しやすさなどを協議し、11社・11製品の受賞が決定した。
ラーメン、カレーなど国民食的なカテゴリー、コロナ禍でさらに人気が高まった鶏唐揚げ、そしてそれらをおいしく、インスタ映えさせる調味料、高齢者施設向けに工夫を凝らした商品、注目の代替肉など時代に合った商品が選ばれた。
また、コロナ禍で消費者に選ばれた業態は、回転寿司と焼肉。外食産業貢献賞・事業者部門は、その業態のトップブランドかつアフターコロナを見据えた先進的な取組みを進めている2社・2ブランドを選出。機器・資材部門は、コロナ禍対応や効率化だけでなく、人の負担を軽減してくれる製品を選出した。受賞製品を見ると外食産業のDX時代への確かな足取りを感じる。
われわれ業務用卸は、まだマンパワー産業だ。機器・ロボットメーカーが素晴らしい製品を開発し、飲食店が導入することで、業務用卸のDX推進にも弾みがつくことを期待している。そして、業務用加工食品もおいしく、利便性・汎用性を進化させるなど関係企業が互いに努力・協力することが外食産業の活況を取り戻すことにつながると信じている。
◇代表謝辞
●平和食品工業・森村荘太郎社長 製品開発、基本に忠実が大切
コロナ禍では、業務用・外食産業向けの多くの業界が苦労しているが、すべてが不調というわけではない。本日集まった受賞各社は、厳しい状況の中でしっかりと各社の技術力・開発力・営業力で、ユーザーに「役に立てる商品」として形にし、業務用・外食産業に貢献している。当社もこの授賞式に参加でき光栄に思っている。
当社受賞商品の「大地の味噌ラーメンスープ」は、当社のロングセラー商品で今なお主力の「サッポロみそラーメンスープ」や、その他PB含め数百品目にわたる味噌ラーメンスープの販売から得た知見をベースに「プロの味づくり」を追求した。伝統の流れをくみながら、昨今の「新しい味噌ラーメン」に対応した商品としてユーザーに提供できるようになった。「味噌ラーメンのヘイワ」といわれている当社が、満を持して発売した商品だ。
この受賞には心から感謝するとともに、身の引き締まる思いがする。
この受賞で「基本に忠実な新製品開発」の大切さを心に刻んだ。厳しい環境で時代の流れや市場の状況などをしっかりと把握し、自社の技術・知見・営業力を生かした商品開発に徹することが必ず自社の発展につながり、業界の発展の一助になればと考えている。
◆第24回日食優秀食品機械・資材・素材賞
◇選考経過
●石谷孝佑選考委員長 先端技術や素材を選考
昨年から制度化されたHACCPに係わるIT技術や施設整備に係る3D技術、介護食に用いられる機能性食品素材など、時流に沿った受賞製品が多かった。
機械部門を受賞した味の素エンジニアリングの「プランタクシス」は、デジタルツインで簡単に現場にアクセスでき、時間の節約と設備管理の人材不足を解決するもの。
オプテックス・エフエーの印字検査用画像センサは現場での使い勝手、文字の読み取りが各段に安定した集大成モデルでDX化に対応する。
シーピーエンジニアリングのアイスクリームフリーザーは世界初となるCO2冷凍機を内蔵した小型機で、将来のあらゆる環境関連法に対して安全性を担保している。
西村機械製作所の卓上型米粉粉砕機は、でんぷん損傷の少ない微砕な製粉が可能だ。
ヤマウラの食品工場ブランド「オイシールド」は、デジタルツインで仮想空間に工場建設し、動線や設備が建設前段階で検証できる。
素材部門を受賞した太陽化学の「サンアクティブシリーズ」は、フラボノイドの弱点を、サイクロデキストリンで安定・効率化させ、吸収性や溶解性を改善した。
長岡香料の「トリプルブースター」は、低塩・減塩商品・低糖商品・低脂肪商品の3カテゴリーに向けた機能性フレーバーの開発を通じて医療費の削減やSDGsなど持続可能な開発目標も視野に入れている。
日清オイリオグループの「日清MCTオイル お粥にプラス」は、病院や施設給食向けオイルで、独自技術で食べやすくし高齢者や要介護者のエネルギー補給に最適だ。
◇代表謝辞
●西村機械製作所・西村元樹社長 米粉需要の裾野拡大を
微粉砕かつでんぷん損傷度が低い米粉粉砕装置「スーパーパウダーミル」を展開する当社が、さらなる米粉需要の裾野拡大を願い、地産地消や農業6次産業化を推進する機器として開発したのが卓上型の「フェアリーパウダーミル」だ。農家が自ら生産したコメを自家製粉し、パンや麺、ケーキなど加工品を製造する、新たな産業の創造を目指し、提案活動を続けてきた。
当機はコメを水に浸漬して製粉する湿式製粉で、乾燥工程を経ずに生米粉のまま加工品を製造することで、おいしいパンやめんなどが出来上がるメリットもある。
元来、加工品を作るのが得意な日本人だけに、今後、クックパッドやYouTubeなどを通じてさらに広がっていくことを確信している。
最近では、「グルテンフリー」の考え方が欧米から入ってきて、小麦アレルギーを持つ人もおいしく食べられるパンやめんが作れる点でも、米粉は注目されている。
その一方で、高齢化や担い手不足問題に直面する日本農業だが、米粉加工品で所得向上につなげれば、農家はもっとコメを作ることができ、結果的に地域を守ることになる。
スーパーパウダーミルで12年前いただいたこの賞を、再度受賞できて感慨深い。これを機に、さらなる米粉普及に精進し、コメ消費拡大に貢献したい。
◆第9回地域食品産業貢献賞
◇代表謝辞
●名糖産業・三矢益夫社長 地域商品から全国へ
本日の受賞は大変名誉なことで、厚く御礼を申し上げる。
名糖産業は1945(昭和20)年、富士製薬株式会社として創業した。終戦の混乱期の中、食品事業を立ち上げて改称して現在に至っている。今では、食品事業の売上げは全体の90%近くとなっているが、そのきっかけとなった55(昭和30)年ごろに発売した「名糖オレンジドロップ」「名糖オレンジジュースの素」。当時は画期的な商品で、人気を博し、全国に広まった。その後、「アルファベットチョコレート」も同様に地域から全国へ広まった。
おかげさまで「アルファベットチョコレート」は昨年、発売50周年を迎えた。最近では、本社がある愛知県の三つの工場で、それぞれ直売店を置き、地域の皆さまへ大変ご愛顧いただいている。その売店をアンテナショップとして、商品開発の起点となっている。
今後、地域の発展に貢献できるものとなり、よりよい食品が提供できますように努力、精進してまいります。
終わりにあたって、ご臨席の皆さま、お会社さまのますますの発展と皆さまのご健勝、ご多幸を祈念しまして、お礼のお言葉とさせていただく。
◇ごあいさつ
●日本食糧新聞社社長・杉田尚 応援紙としてサポート
本日、各賞を受賞された皆さま、誠におめでとうございます。皆さまにおかれましては今後も食品業界、外食産業、地域の活性化と発展にご尽力賜りますようよろしくお願い申し上げます。
本来でしたらこの会場にたくさんの方をお招きし、盛大に表彰式・祝賀会を開催する予定でした。しかし、多くの方々のご協力の下、コロナ禍においてもこのような形ではございますが表彰式を開催できたことを大変うれしく思っております。ここに関係者の方々、ご参加の方々にあらためて厚く御礼申し上げます。これからも賞にふさわしい応援紙の役割を高めてまいりますので、引き続きご支援ご協力のほど重ねてお願い申し上げて、閉会のあいさつとさせていただきます。