キッコーマン、過去最高の減塩率66%カット 超特選で味わい両立

「超」設計で違いがイメージしやすい「超減塩しょうゆ」、減塩市場・ユーザーの次世代を担う(写真は日本アクセス展示会)

「超」設計で違いがイメージしやすい「超減塩しょうゆ」、減塩市場・ユーザーの次世代を担う(写真は日本アクセス展示会)

キッコーマンは2月から「いつでも新鮮 超減塩しょうゆ 食塩分66%カット」を発売し、過去最高の減塩率を実現した。おいしさを保ち、限界まで塩分を除いた。うまみが最も多い、超特選規格をパッケージで明示。実用の少なかった調理用途を開く。好調な既存の減塩醤油で消費の間口を広げ、超減塩・超特選の商品力で奥行きを増す。健康志向の深まりに応えて価値と収益を高める。

「超減塩」は本醸造の濃口醤油。大豆、小麦、塩という主原料はそのままに、独自の発酵技術を生かして、減塩率は3分の2まで達した(通常の濃口の食塩分17.5%比)。食塩量を大さじ1杯で0.8gにとどめた醤油は売場で類を見ない(だし醤油など加工品を除く、日本食糧新聞調べ)。食塩カット率約50%で減塩とする業界ルールを超える、自主基準「超減塩」(カット率60%以上)を商品名に冠した。

1965年に病院食向けの「保健しょうゆ」を発売して以来、醤油本来のうまみや風味を残す、減塩開発を追求してきた。

「超減塩」はうまみの目安になる窒素分が一般の特級比で20%以上の超特選。最高品質を密封ボトルで開封後・常温でも90日間保つ(200mlは60日)。減塩展開55周年の節目の年に、減塩とおいしさを両立する、10年にわたる研究・開発を結実した。

コクと香りを特に強め、調理適性を持たせた。豊かな味わいを超特選表示の真下で訴え、つけ・かけ中心の使用実態を料理へ広げる。希望価格は450mlで380円、200ml280円と既存品より3割高い。発売後も棚替えがあって導入の多くと実売はまだこれから。5月から単体でのTVCMを投下するなどし、メニュー提案を推進する。

減塩醤油のヘビーユーザーに多い、50代以上向けに医療機関でサンプリングを予定。妊婦にも実用を促し、減塩全体でのデジタルプロモーションも続ける。調理に物足りなそうといった先入観を覆す。

既存販売はトップブランドの「味わいリッチ減塩しょうゆ」をはじめとして好調。来3月期から厚生労働省が掲げる塩分の摂取目標は、0.5g引き下げられるとみられる。オリンピック・パラリンピック開催もあって、健康への意識がさらに深まるのは必至。ニーズの深化に応じ、価値、用途を拡充する。成長カテゴリーの収益を着実に増す。(吉岡勇樹)

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