つゆ市場、堅調な出足 消費者との接点広げ魅力発信
つゆ市場は今春、コロナ特需の裏年ながら堅調な出足を切った。自衛の内食増で支持され、前3月期は前年比約10%増と全体で100億円以上を積み増した。今期の新商品は少ないが、ヒゲタ醤油の「本膳つゆ」など従来なかったアッパー商材が登場した。にんべんは惣菜店の「一汁旬菜 日本橋だし場」を新宿駅ナカにオープン。つゆ最大の強みである、だしが食材の味わいを引き出す機能性、魅力を伝え、市場の可能性を広げる。
市場は前年に消費が増大した3月、前年比微減で推移して消費の底堅さが見られた。過去最高とみられる規模を通期で維持。増えた家庭内調理で濃縮タイプの汎用(はんよう)性、鍋つゆの健康価値などが認められた。
今期はコロナ感染の第4波も見られ、深まる内食志向に安定供給で応える。定番品への生産集中で新商品は例年より少なく、主に夏向き麺用ストレートのリニューアルが多い。中でも新規ユーザーの試用増で前期、好調だった中容量のこだわり商材にヒゲタの「本膳つゆ」、ヒガシマル醤油の「蛤と帆立白だし」が発売され注目される。
うまみの強い超特選の「本膳」は高級醤油の代名詞。加工調味料に初めて用いた「本膳つゆ」は麺や素材の風味を生かす、独自のまろやかな味わいに仕上げた。老舗蕎麦店で愛用される商品力、ブランド力に流通業の評価は高く、間近に迫る麺商戦に臨む。「帆立白だし」は貝だしで料理の万能性を向上。新奇性も強みに成長カテゴリーを勢いづける。
にんべんは「旬菜だし場」3店目を3月末、人気の駅ナカ商業施設のニュウマン新宿に開いた。弁当店の品川「OBNTO」とともに山の手線沿いで惣菜専門店を増やし、消費者との接点を拡大する。だしをそのまま食べる「だしつるり」など、高価なカツオの枯れ節を使っただしを全品に使用。さまざまな食材、料理の味わいをまとめて決め、色みも生かした彩りで食欲、栄養バランスを高めるだしの真価を発信する。=関連記事7~9面(吉岡勇樹)