メニュートレンド:6種から選べるハンバーグ 好みを組み合わせられる楽しさ
ハンバーグのアップデートが止まらない。本紙でも新しいスタイルのハンバーグ専門店をいくつも取材しているが、またしても進化系ハンバーグの繁盛店が登場。今回は牛、豚、羊など6種類のハンバーグからチョイスできる東京・東銀座の「挽肉屋 神徳」を紹介する。
●小サイズがメリットいっぱい!
牛、豚、羊それを合わせた「三合挽」と「マグロ」「タイ」の計6種類をラインアップ。ハンバーグ専門店としては後発だったことから、ハンバーグのバリエーションを集客の武器に据えた。
1個のサイズを55gと小ぶりにし、定食については客が2または3種類を組み合わせるという“盛り合わせ”スタイルが斬新だ。「小サイズにしたことで、お客さまごとに組み合わせ自在な盛り合わせができます。実は同時に焼成時間の短縮も実現でき、小さいためナイフとフォークで切り分けてから食べる手間を省いてお箸で食べられるという利点もあるのです」と後藤寿治店長は解説する。
主要客層は近隣会社員でランチが主戦場。昼休みの限られた時間で、どれだけ回転率を上げられるかが勝負となる。忙しい会社員にとっても、おいしい食事がすぐに出てきて手間なく食べられるのはありがたい限りだ。ピークタイムの提供時間は10分弱。これを炭火焼きで実現した業態設計に感心してしまう。平日はランチだけで110人、ディナー40人を集客。さらに週末は20~30代の女性を中心に銀座に買い物ついでの目的客の集客にも成功している。
「肉は焼いてしまうとどれも同じ色になってしまうので、最初はどこに何を置いたかわからなくなって戸惑いました」と後藤店長は笑う。とはいえ、食べるとやはり肉の個性が際立っている。ハンバーグは全種類つなぎなしの100%。売れ筋は「牛」で、牛ばら肉に牛すじ肉を加え、超粗びきにすることで肉肉しい食感を表現。「豚」は細びきにしてふんわりと焼き上げる、「羊」は細びきと粗びきを組み合わせるといった具合に種類ごとに最適なひき方を採用。これを店内で肉をひくところから手作業で仕込んでいるというこだわりにも脱帽だ。
10月から、価格を下げたハンバーグ丼を投入したことでさらに客数が激増。「ブランド力と運営力が整ったら、将来的に多店化にも挑戦したい」と後藤店長は意気込んでいる。
●店舗情報
「挽肉屋 神徳」
経営=丸八殖産/店舗所在地=東京都中央区銀座3-11-16 VORT銀座イースト1階/開業=2022年4月15日/坪数・席数=20坪・20席/営業時間=11時30分~16時、18時~21時。日曜・祝休/平均客単価=1500円
●愛用食材・資材
「赤出し味噌やはぎばし」 カクキュー(愛知県岡崎市)
豆+コメで使いやすい 隠し味やタレに重宝
同店ではハンバーグの隠し味や付けダレに3種類の味噌を使い分けて使用するが、そのうちの一つが同品。八丁味噌の老舗メーカーとして知られるが、同品は豆味噌にコメ味噌を合わせたもので、伸ばしやすく他の材料とよくなじむ利点がある。定食に添える味噌汁にも使用している。
規格=1kg
【写真説明】
写真1:写真は撮影用に全種類のハンバーグを盛り合わせたもの。ハンバーグ定食は写真の3種類をチョイスする1.5人前(計330g)と、2種類を選べる1人前(計220g)の2品のみ。「マグロ」は赤身の部位を極粗びきにして、赤味噌と大葉を練り込んでレア気味に焼く。「タイ」は柚子味噌を練り込んでいる
写真2:実際の定食の事例。飯はコシヒカリ、味噌汁は赤だし、副菜が3つ添えられる。2種類のソースは自家製オニオンおろしソースと味噌とリンゴをブレンドした特製ブレンドソース。下のプレートは160℃に温められており、保温しつつもソースがたれたときに飛び散って客の服を汚したりしないよう絶妙な配慮をしている