海外通信 外食ビジネスの新発想(59)ロボティックスで効率的オペレーション
●本格寿司のファストカジュアル
寿司は、相変わらずの人気。ほんの少し前までは、海苔の黒色に慣れない一般のアメリカ人のために、裏巻きにしたり、海苔の代わりにカラフルなソイペーパーを使ったりしたものだった。今ではそのような工夫をしなくともよくなり、寿司はアメリカの食生活にすっかり根差し、どこのスーパーでも必ずパック入りが買えるようになった。チェーン店も次々にオープンしているが、中でも注目はこの「マキマキスシ」。
創業者のケヴィン・タカラダ氏は、寿司業2代目の若手だ。お父さんは、35年前にマイアミにサウスビーチ初の寿司店「トニーズ」をオープン、顧客が通う伝説の店として今も繁盛している。息子のケヴィン氏は、2017年にニューヨークに進出、新しいビジネスモデルの同店をオープンした。19年には、ビジネス街のミッドタウンに2店目をオープン。ニューヨークを選んだのは、人口が密集し、寿司の需要が高いからだという。
機械工学のバックグラウンドを持つケヴィン氏は、スムーズなオペレーションを目指して、洗米機、寿司米ミキサー、寿司カッターなどを導入し、規格化された寿司作りの工程を構築。おかげでいつ行っても安心してクオリティーの高い寿司を食べることができる。ネタはどれも新鮮だ。ハマチ、本マグロ、イクラ、コメ、海苔などはすべて日本から輸入し、サーモンはヨーロッパから輸入している。魚類は、新鮮さを保つため、マイナス60℃の低温で搬送。
同店のメニューは、カリフォルニア巻き(カニカマ、アボカド、キュウリ)、アボカド巻き(アボカド、キュウリ)の7$95¢から、高いものは本マグロ巻き(本マグロのトロ、シソの葉、キュウリ)の18$。そして、手巻きは、やはりカリフォルニア手巻きとアボカド手巻きの5$から、イクラ手巻き(イクラ、シソの葉)の12$と幅広い。人気メニューは、アボカドとマグロの巻き寿司、スパイシークラブ(カニ)の巻き寿司、およびスパイシーツナ(マグロ)の手巻き寿司(ハンドロール)だ。
寿司のほか、ハマチのハラペーニョ(6$)、マダイのカルパッチョ(18$)、枝豆(4$50¢)などのアペタイザーやアルコールも用意されていることから、仕事帰りにアペタイザーをつまみに一杯飲むこともできる。ニューヨーク典型の細長い店は、よく考えられたレイアウトで、壁に沿ってスツールを並べたイートインスペースがある。
同店では、寿司と刺身のキットも全米に向けて販売している。ネタ、コメ、酢、醤油などのほか、巻きすやしゃもじなど、寿司作りに必要なものすべてをセットにしてあるので、家庭でも気軽に寿司を楽しむことができる。
●店舗情報
「マキマキスシ(MakiMaki Sushi)」
所在地=360 Lexington Avenue New York New York/
開店=2019年7月
【写真説明】
写真6:プレミアムのコンポ 30$本マグロのトロ、ワタリガニ、ハマチとネギ、ウナギとアボカド、サーモンのトロのグリル、サーモンとアボカドの巻き寿司の中から2種類選び、スパイシーシーフードスープか枝豆と味噌汁から1種類選ぶ