水耕野菜ここまできた栽培・利用状況 キユーピー野菜工場「TSファーム」
「洗わないで食べられる野菜」をキャッチフレーズに安全性を訴求しているのがキユーピー(株)野菜工場・TSファーム。外部環境を遮断した完全人工光型システムの工場だ。栽培環境を完全制御するため定時、定量、定品質の無農薬栽培が可能となっている。
TSファームのTSとは、Triangle Panel(三角パネル)とSpray(噴霧)の頭文字をとったもの。
名前のとおり工場内は、戸板状の二枚の栽培パネルの上端を合わせて三角形の山形にし、育苗室で育てた苗をパネルの穴に入れ生育させる。
この栽培パネルの裏側から植物の根に直接培養液をスプレーし、養分と水の供給をする。スプレーされた養液はタンクに回収されてろ過され、再び圧力ポンプで各ラインに送られる循環式噴霧水耕だ。
根は宙づりとなっているため、必要な酸素は空気中から十分に吸収できる。
完全制御の工場内は、光、温度、炭酸ガス培養液などが自動コントロールされているため、作物・品種に要求される最適日長時間をセットしたり、温度コントロールすることが可能だ。
例えば、レタス類は高温長日条件下でとうが立つため、日長時間、温度をコントロールし一年中とうが立たなくすることができる。
こうして制御された野菜の収穫サイクルは、種苗一〇日、パネル移植一〇日を含めリーフレタス三四日、サラダ菜三二日。約一ヵ月に一回の収穫だ。
生産品目はサラダ菜、リーフレタス、マスタードグリーン、リーフセロリなどの野菜類やロケット草などのハーブ類が主になる。
一品種の野菜の生産マニュアルに三年はかかるという。まだ商業ベースに乗らないが、実験中の新野菜が出番を待っている。
◆キユーピー(株)野菜工場・TSファーム(茨城県猿島郡五霞町、Tel0280・84・1253)