インサイドレポート 低価格コーヒーチェーンのシェア争い、火花散らす180円対150円

1996.09.02 108号 4面

アメリカの大手コーヒーチェーン「スターバックス」が、日本市場に進出してきた。関係マスコミは騒ぐが、「一八〇円コーヒー」で独走する(株)ドトールコーヒー(本社/東京・港区)は、とくに動じる気配もない。むしろ一八〇円を大きく下回る国内「一五〇円コーヒー」の出店攻勢の方が気になるところだ。一五〇円コーヒーといえば、ここ二、三年、(株)シャノアール(本社/東京・板橋区)が、「カフェ・ベローチェ」を積極展開しており、都内を中心に8月末現在、直営出店で四四店をチェーン化する。両社の企業規模もチェーンスケールも大きな差があり、まだライバルという存在にはなっていないが、しかし、ベローチェはドトールに比べて大型店で、ゆったりとした空間を提供しており、コーヒーの質も高く、価格も一五〇円と安い。このため、出店が加速すれば、近い将来において気になる競合チェーンという存在になる可能性はある。

ドトールは「一八〇円コーヒー」の低価格店舗「ドトールコーヒーショップ」を主体に、「カフェコロラド」「オリーブの木」(パスタ)、「カフェコナファーム」「カフェエクセシオール」「カフェテレジア」の五業態で、好調に出店数を伸ばしてきており、今年3月期決算(九五年度実績)で直営八四店、FC五八八店の計六七二店、売上高三九五億円(前年比一五・三%増)の実績を上げている。

チェーン展開は「ドトール」を主体に「カフェコロラド」などFC出店が全体の九割近くを占めるわけだが、新規FC店と加盟店サイドでの多店舗化が進んでいるので、年間八〇~一〇〇店と加速がついている。

この点、シャノアールは直営出店であるので、ドトールに比べれば出店ペースはスローだ。FCシステムを導入しない限り、資本投下や人材育成の面もあり、ボリューム的な出店は望めないわけだが、シャノアールは店舗運営の自主性、弾力性の面から直営出店に固執している。

「資金、人の面ではFC展開は楽ですが、私どもはすべて自前でやっていこうということで、地味ですが着実な出店を進めています。今は物件もいい条件で手当できますし、将来、この業態が不振になっても、直営店ですから自由に業態変更ができる。この点が大きな強味ではないでしょうか」と話すのは、シャノアール総務(店舗管理)担当部長木村毅男氏だ。

後述するが、シャノアールは本体のコーヒーハウス「シャノアール」を約七〇店出店しているので、ベローチェの四四店と合わせれば一一〇店以上のチェーン規模になり、これはドトールの直営八四店を大きくしのぐ出店数になる。

店舗出店形態については企業の方針もあり、是非はいえないが、ドトールがFC展開によって、首都圏を主体に低価格「一八〇円コーヒー」を全国規模で浸透させていることには、チェーンビジネスとしては大きな意義がある。

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