デリバリー「弁当」 過渡期迎え第2世代へ、マンネリ傾向に終止符

1996.09.09 109号 19面

オープン直後に月商一五〇〇万円。衝撃的デビューを飾ったデリバリー弁当であるが、その後のリニューアルについては音沙汰なし。各チェーン横並びのマンネリ化が続いていた。そのデリバリー弁当がここにきて大きく変わり始めている。複合店化、メニューチェンジ、手作り路線など、他社との差別化傾向が顕著である。第二世代に突入したデリバリー弁当を検証する。

デリバリー弁当は、仕出し弁当を高級化して熱々のままワンウエーで届ける業態である。冷凍弁当を用いた「KAKIEMON」からデリバリーコンセプトが生まれた。KAKIEMONは現在の「萬作」「ファンダース」(旧KAKIEMON)、「はなだ」(萬作に吸収)、「永谷園」「菱膳」の原点でもある。 調理オペレーションの大筋は、CK(セントラルキッチン)で一括加工した冷凍弁当を電子レンジで急速加熱するというもの。数種のおかずとご飯を同時加熱するため、加熱ムラを防ぐ食材の組み合わせと並べ方がノウハウのポイントとなる。

デリバリーピザと比べた利点は別掲のとおり。商圏、立地は大量発注が見込めるオフィス街が多い。

出始めは法人や団体からの大量発注が相次ぎ各店一五〇〇万円前後の月商を誇ったが、店舗飽和化につれ一〇〇〇万円前後まで落ち込んだ。その要因は各店横並びのマンネリ化にある。

ストアブランド(チェーン)が違うだけで、冷凍弁当の製造メーカー(仕入先)やノウハウの出所(発祥)は同一であったり、おかずの組み合わせノウハウが単調であったりして、他店との差別化が図れなかったのだ。どこの店でも同じ味、しかも飽きられてしまう、ということである。一商圏に二店舗は成立しない典型的パターンだ。

以上の第一世代に続く第二世代はすでにスタートしている。方向性はさまざまだ。大手の萬作は吸収した「ミスターピザ」との複合店化でデリバリーの新たな境地を開こうとしている。萬作の親会社で冷凍弁当メーカーであるトーカツフーズは、冷凍弁当をデリバリーピザ店の複合店化策として提案し始めた。

KAKIEMONの創業メンバーからは、手作り路線の「あげ膳」、惣菜需要をにらんだ「ケータリング・サンタ」などのアレンジ業態を立ちあげる者が出てきている。KAKIEMONの後身であるファンダースは大手食品メーカーに身売りされた。過去のノウハウは他分野で活用される様相である。世帯ニーズを追求した「菱膳」は強力な世帯ニーズを発揮するデリバリーずしの展開に進路変更した。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: 永谷園