インサイドレポート 転機のアイスクリーム市場 ハーゲンダッツ、店舗新設は休止状態
スーパープレミアムアイスクリームにイメージされるハーゲンダッツの商品力は強いと、同社は自負するが、しかし、店舗展開はここ二、三年は年間一、二店の出店で、ほとんど休止状態にある。
平成7年度実績でも出店数は直営五三店、FC三七店で、前年と比べても目立った動きはない。
ハーゲンダッツは一九六〇年アメリカで誕生したアイスクリームチェーンで、米本土以外世界二六ヵ国に進出しているが、このチェーン数は九五年現在でも五〇〇店にすぎない。
日本での出店が約二割を占めるということになるが、これに対しライバルのサーティワンは日本国内で直営、FC合わせて三三三店と四倍近くを出店する。
サーティワンもアメリカ生まれのチェーン企業だが、米本土を含め四五ヵ国で四〇〇〇店以上を出店するビッグな存在にある。
それはともかくとして、ハーゲンダッツの店舗展開は消極的だが、しかし、製品販売については独自の活路を切り開いている。
グロサリー(小売)分野がそれで、デパート、スーパー、コンビニなどの流通チャネルを使って、販路を開拓しており、他チェーンにない強みを発揮している。
この分野の売上げは平成2年から逆転(店舗四八億円、グロサリー五二億円)し始め、5年は店売りが五四億円、グロサリー一七六億円、6年度は前者が五七億円、後者が二三三億円という結果をみせている。
この格差は開く一方で、すでに全社売上げの二割が店舗売上げという状況になっている。
しかし、大局的な市場戦略としては、店舗で企業と商品イメージを高めて、グロサリーで内実を上げていくという考え方だ。店舗で新商品を投入して、その成果をみてグロサリー部門でも本格販売する。
今年6月に導入した「抹茶フレーバーのアイスクリーム」シングル二〇〇円、ダブル四〇〇円、また、9月5日から全店に導入した「チェリーバニラ」シングル二五〇円、ダブル四〇〇円はその例で、好成績を収めている。
さらに9月末からは関東エリアに限って、ミニカップ「グリーンティ」二五〇円もラインアップする方針だ。