これが21世紀の野菜だ にっぽんの植物工場(10)無菌野菜・無菌工場
農作物の栽培で、収穫・出荷の作業で、衛生管理という言葉が聞かれたことがあるだろうか。
農業は「おおらか」、土は「神聖」というイメージが強い。農家の人がマスクをして野菜を包装したり、収穫用のカマを殺菌したり、また、畑にトイレが備え付けられているのを見た人がいるだろうか。
大部分の農産物は加熱処理して食べるか、果物などは皮を剥いて食べるかするので、こうしたことを唱えたりすれば、神経過敏症と言われるのが落ちだ。
ところが、近年状況が変化し、野菜の衛生管理が求められてきた。
つまり食事の洋風化による生野菜の消費と、外食比率の増加がある。
例えば、サンドイッチをみても、加熱処理など衛生管理されたハムやパンなどの工業製品と、レタスなどの野菜を材料として、細菌数や異物などのハードルをクリアして製品を作ることになる。
また、「O157」の問題もあげられる。まだ不明なところも多いと思われるが、生野菜が敬遠されたのは事実。しかし生野菜を食べないわけにはいかないから、いきおい野菜と衛生管理への関心が生じてくる。
こうした背景から、今後農業と食品工業が接近すると同時に、衛生管理の必要性が生まれてくるのは自然の流れと思われる。
そこで注目されているのが植物工場だ。植物工場の概念は、外と遮断された建物の中で、環境を人工的にコントロールし、機械化により効率的な植物生産を行う場とする。また土を使わず水耕栽培でもある。
遮断された中では、鳥が糞を落とすこともなく、虫や泥がつくことも、雨に打たれて腐ることもない。また食品工場と同じように完全な衛生管理も可能だ。
このように植物工場は、農業と食品工業の接点となり、消費者に安全な野菜を供給する役割を担っている。











