世界の人気食材 「バナナ」130種、半分は料理用
バナナの栽培の歴史は紀元前五〇〇〇年~一万年も昔といわれる。適産地は赤道を中心として南北緯度三〇度以内の熱帯圏で、地球を帯状に巻いている。
無霜地で表土の層が深く、土壌が適度に湿っており、しかも排水のよい肥えた土地が要求される。そして台風に倒されやすいので強風地は避けられる。
年産額は五〇〇〇万tを超え、インド、ブラジル、フィリピン、エクアドルなどが主産地。夏に開花したものは約三ヵ月、冬に開花したものは約六ヵ月で全果房の果実が充実してくる。バナナの全果房の中心に太い果軸があって、それに小房が数段から数十段もついてくる。
バナナの品種は非常に多くおよそ一三〇種。果指の大きなものは長さ三五㎝にもなり主として料理用に。小さなものは長さ五㎝ほど。品種として皮の厚いもの、薄いもの、甘みのあるもの、少ないもの、果皮の淡褐色、赤色のものなど。果肉の色も白色を中心にクリーム色、黄色、桃色のものもみられる。
バナナは周年絶えることなく供給され、量産されるため価格も安く、栄養面でも優れ、主食代わりにもされている。インドネシアでは朝食にコーヒーとバナナというケースもある。
日本での利用法はほとんど生食用で、九六年度には八一万八〇〇〇tも輸入されている。内訳ではフィリピン産が約七六%、エクアドル産が約一七%である。今年度はエクアドル産が急増する見込みである。
成分的には一〇〇g当たり八七Kcal、食物繊維も比較的多く、ビタミンB1、B2、Cのほかカロチンも多い。ミネラルや微ミネラルでは鉄、カルシウム、カリウム、亜鉛、銅などに恵まれ、優れた食品と呼べよう。
バナナは利用価値の極めて高い果物で、皮がむきやすく、しかも種がない。香りもよく甘みも十分で女性や子どもに特に人気が高い。単なる果物としてではなく、野菜や加工食品の素材としても価値が高い。
生食以外に、品種によっては、つぼみ(バナナ・ハート)や幹の芯を野菜として食べている。特に野生の種のあるバナナのつぼみは美味。つぼみは中国料理の炒め物に喜ばれている。
第二次大戦中、ニューギニア地方で日本軍の飢えを救ったのは、肥大した根元にでんぷんを蓄えるバナナの近縁植物であった。
バナナを素材とした加工食品の代表としては――
●グェイ・ブワッチー(バナナのココナッツミルク煮)=タイの人気者。バナナを三㎝の長さに切り、さらに二つ割りに。ココナッツミルクと水を入れ、砂糖、塩を加えて煮る。バナナを二~三分煮て出来上がり。とろけるバナナの味が魅力的。
●バナナブレッド(バナナ入りパン)=アメリカでも人気者。バナナをつぶして、小麦粉、ベーキングパウダー、塩、砂糖、卵を混ぜ、ローフ型に入れオーブンで焼く。アメリカの国内航空の機内スナックにもみられる。
その他バナナのバーベキュー、バナナ入りホットケーキを始め乾燥バナナもおいしい。
料理用バナナは別名クッキングバナナで、ヨーロッパではプランティンと呼んでいる。果指はでんぷんに富み、加熱加工して食用とする。緑が濃くつかんでみてかたいものは甘みがなく、かすかにバナナの香りがする。芋の代わりに揚げたり煮て食用とする。色づいてくると甘みも出てねっとりとして、バナナの春巻き、バナナの大学芋風などに利用される。利用範囲大。
東南アジアを始めアフリカ、南アメリカなどに多く、でんぷんのように乾燥粉末にもされる。