特集・地酒と料理 「三十三間堂」埋もれた美酒を紹介
電気街のにぎやかな雑踏を少しはずれると、秋葉原ワシントンホテルが静かにそこにある。ここの一一階に一七年前から地酒と鍋にこだわる「三十三間堂」がある。
地酒の種類は二七種類。ふだんあまり飲むことのできない酒を、特選として一三種類、人気のある久保田だけのメニューは六種類常時置いている。
「最近一般の人の間でも地酒がよく飲まれますよね。ですから、有名なお酒も置きますが、あまり聞き慣れない、しかもおいしいお酒を積極的に探して、メニューにのせてお客さんに紹介しております。ちょっと前からは、十四代というお酒が人気ですね。入荷も難しいのですが、入ってもすぐに出てしまう、人気の酒ですね」
十四代はフルーティーで香りのよい酒だ。さらりとした、淡麗辛口の久保田の千寿は不動の人気とのこと。
冷やはグラスを升に入れて、お客の前でなみなみと注ぐ。「気持ちの問題なのかもしれませんが、これが受けていて『おねえちゃん、もうちょっと入れてよ』なんて、お客さんとコミュニケーションもとれているみたいですね」
熱燗は、鍋料理がメーンメニューのため、座席で自分たちでお燗をつけられるのも特徴だ。その鍋料理はちゃんこ鍋やしゃぶしゃぶといったものもあるが、名古屋コーチンを使った地鶏つくね鍋も人気を博している。つくねに鶏の軟骨を入れたのが成功で、リピーターも多いとか。
季節の鍋料理は一風変わったものが多く、いままでにボタン鍋(イノシシ)、鷹狩り鍋(キジ、カモ)、ふかひれスープ鍋、あんこう鍋、ふぐ鍋といった値段的にも、素材的にもふだんなかなか食べられない味を安く、カジュアルに、客に提供している。評判も上々といったところだ。
オープン当時からの常連さんが多いこの店。気軽に、しかも常に新しい味を、惜しみなく客にふるまっている。
地酒と鍋「三十三間堂」
<創業>昭和55年
<所在地>東京都千代田区神田佐久間町一-八-三、秋葉原ワシントンホテル11F電話 03・3253・0970
<営業時間>午前11時30分~午後2時、5時~10時30分(月~土)、午前11時30分~午後2時30分、5時~10時(日・祝)
<店舗面積/席数>三七坪/一二〇席
<客単価>六五〇〇円料理7:酒3
<一日来店客数>平均一〇〇人
<客層>比較的四〇~五〇代のサラリーマンが多いが、OL、二〇~三〇代のサラリーマンも来る
<月商>二〇〇〇万円