中国料理デリバリー 上海エクスプレス、23区に11店、月商800万円
「上海エクスプレス」は、東京二三区内に一一店舗を展開するデリバリー専門の中国料理店チェーン。各店、平均月商七〇〇~八〇〇万円とデリバリーピザ全盛期並みの繁盛を極めている。
この店は、東京・新宿の中国料理店「天来」のオーナーである杉崎幹雄さんが、「最近は出前を受ける中華料理店が減った。あれば便利なのに」という素朴な発想からスタートした。
二年前、世田谷区内に一号店となる池尻店をオープン。ノウハウを固め、昨年8月にオープンした中野店から多店舗化に乗り出し、現在に至る。
メニューは、三〇〇gを基準とする一品料理一六アイテム、五〇〇gの麺飯類一六アイテム、前菜、デザート類がそれぞれ四アイテム、季節料理が六アイテム、それに焼餃子、春巻、ライスで構成する。売れ筋アイテムや単価などの詳細は別表の通りである。
従来のデリバリーチェーンにない新たな試みとして注目すべきは、本部によるオーダーの一括管理だ。各店の電話回線が本部に転送される仕組みで、オーダーにはすべて本部のアルバイトスタッフが対応するという方式である。
オーダー概要は高速ファックスで各店に伝達され、店舗現場は調理とデリバリーに集中するという役割分担になっている。
このオーダーの一括管理は、食材の納入、製造ライン、バックヤードにも連結し、食材仕入れ、流通の効率化にも大きく貢献しているという。
「他業種はアルバイト調理が可能だが、中国料理はそれが不可能。だから調理の熟練者になりうるオーナーか責任者が直接鍋を振るわけですが、それに集中してもらうための側面からのサポートが重要。要は調理以外の管理を、どこまで本部がまかなえるかですね」と杉崎さんは言う。
とはいえ、中国料理は火加減や調味料のタイミングが命といわれる最も奥深い料理。未経験から始めたオーナーや責任者が、そんなに早く熟練者の域に到達するのか。
ついては、「バックヤード機能を持つ駒込店で、野菜類、肉類の一次加工(カット)、個別パッケージをこなし、青果納入業者とタイアップしてそれらを各店に日配しています。また、食品メーカーと組んでPBソースを開発、調味の標準化も図っています。調理に取りかかるまでのバックアップ体制は万全です」と自信満々。
「だから調理人は油切りと火加減、それに片栗粉を入れるタイミングさえ覚えればいいわけです。といっても、それを覚えるのに三ヵ月くらいかかりますが。けれども、ここにきて三ヵ月を一ヵ月くらいに短縮するノウハウを得ました。来年は多店舗化に拍車をかける方針です」とついにFC宣言である。
デリバリーのポイントについては「温かいまま届ける」という基本的なこと。ホットバック(ウォーマー)に入れて配達する一般的なやり方を採用している。
それ以前に、おいしさを保つためのポイントとして、配達中に料理から油が染みでないようにする調理上の重要なノウハウがあるそうだ。
◆上海エクスプレスの概要
(平成9年11月現在一一店舗)/(有)幹商会/代表取締役=杉崎幹雄/東京都中野区中央四-一-三、ボニータ新中野ビル一〇階、03・3381・0600
◆展開モデル 直営店の実績
初期投資=一七〇〇~一八〇〇万円(総額)/店舗坪・一〇~一五坪/デリバリー三輪バイク=五~六台/商圏=半径一・七㎞/デリバリー方式=ワンウェー、ライスを除く二品から、四五分以内メド/営業時間=午前11時~午後11時、無休/ポスティング=月間五~七万枚/客単価=三二〇〇円/月商=七〇〇~八〇〇万円/原価率=三〇%/オーナー収益=三〇%(調理人有の場合二〇%)/オーダー時間帯=日中四割、夜六割/客層=多種多様/リピート率=七〇%(月一オーダー)/FC加盟要領=未定